「『ロマンスグレーの魅力』ってのは、真尋さんのためにあるんですよ!」

247 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/07/18(水) 00:11:53.15 ID:78EC+VRD
何やかんやで結ばれたのはいいけど、それから50年くらいして置いていくばかりになった真尋に耐えられなくなったニャル子が、
真尋の意思を無視してでも生き延びさせようと名状し難い化け物へ変貌させてしまうような話が読みたいです

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250 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/07/18(水) 05:25:14.59 ID:TSNOU67t [1/4]
>>247
ごめん、何か要望と違うのになっちゃったわ。

251 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/07/18(水) 05:25:46.93 ID:TSNOU67t [2/4]
「『ロマンスグレーの魅力』ってのは、真尋さんのためにあるんですよ!」
それは声を大にして言いたい、そして言っていた、私の信念じみた主張です。
真尋さん似の男の子に女の子、私似の男の子に女の子、両方似の男の子女の子と、合計六人子供をもうけました。
もちろん私としては、もっともっと子供が欲しかったのですが、真尋さんが『さすがにもう十分だろ』と、仰るので、その後は体をちょっと調整して、妊娠を気にせずに済むようにすると、ただただ体を重ねていました。
その子供達も今では立派に独立し、先に述べた自説を熱く語りながら、ちょっと気の早い自由を存分に楽しんでいました。
が、よりによって、いえ、もちろん可能性と対策を考えておくべきだったのですが、クー子が私似の息子と結婚してしまいました。それも出来婚です。
『でもまあ親なんてものは、孫の顔され見ちまえば簡単に折れるものですよ』と言った憶えがありますが、まさか自分の身に降りかかってこようとは、さすがに未来を読み切れませんでした。
もちろん私は僅かな抵抗をも諦め、折れました。
その上、その事をハス太君に、いくらかの自嘲を込めながら愚痴ろうとすると、『実はぼく……』の台詞と共に、今度は真尋さん似の娘を紹介……この場合は明らかに『紹介』は不適切としか思えませんが……されました。
私はため息ばかりでしたが、その二組を真尋さんは笑って祝福していました。
年の差……と思いもしましたが、私たちの子供達はハーフで、ニャルラトホテプの寿命の約7~8割程度あるのですから、ある意味ちょうど良い位なのかも知れません。

252 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/07/18(水) 05:26:23.98 ID:TSNOU67t [3/4]
「私だけ、って言う訳にはいかないのよね。これでも友人関係もあるし。私の友人、その関係者、その友人……望む人全員に行うのは無理でしょ?」
確かにそのとおりでした。お母様に対してそれとなく提案をして、今却下されたのは、ある意味人類(この場合地球人)の夢である、不老長寿の事でした。
宇宙の技術を使えば、寿命の数値の後ろに0を2つ程足す事も可能です。
しかし、同時にその夢の外とのつながりを切りかねない物なのは、身をもって実感しています。
私もクー子も、ハス太君も、余市さんと珠緒さん位しか元同級生との付き合いは有りません。
(ちなみにこの二人はめでたくゴールインしています)
それも、精神を交換された影響のためか、聞かずして何故なのか、分かっている雰囲気があるがため、つながりを保つ事が出来ているのです。(もちろん真尋さんの友人なのもあります)
同窓会に呼ばれた事もありましたが、三人して出席しませんでした。
時の流れ方が違うと距離も開いてしまう、奇異の目・嫉妬・疑惑……不吉な言葉は次々浮かびます。
それは避けがたい事実です。
何かを得るためには、別の何かを捨てなければならない、その通りなのです。
お母様は友人を捨てる事はなさりませんでした。
そして、私は真尋さんを独占する事となりました。
真尋さんも、お母様と同じ考えでした……
……時を止めて下さい、ヨグソトス先生……時を……

253 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/07/18(水) 05:26:56.58 ID:TSNOU67t [4/4]
ある日、イアパッドを何気なく操作をしていると、ハス太君からメールが届きました。
『ぼくとクー子ちゃんの子供達が一緒になりました』
「ちょおおっと!」
誰にも聞かれない安心感からか、思わず大きな独り言が漏れます。
凄まじい家系図になりそう、そう思った私は紙とペンを取り出し机に向かうと、それを書き始めました。
用紙中央の上部に私たちの名前、そしてあれこれと名前と線を書き、今日知った事実を最後に書き込みます。
途中で別の用紙を継ぎ足し、何度となく線を引き直し、ひとまず下書きは完成です。
それは私に苦笑いをさせるのには十分でした。
(私自身は置いておくとして)その全てが愛すべき対象でした。(クー子も含めて)
立ち上がって、ふと思い立ってもう一度座ります。机の引き出しから、質素ながら、少しばかり高級感のある箱を取り出し、それを開けます。
そこには思い出のフォーク、真尋さんと結ばれた初夜の後、『DV夫になるつもりは無いから』と手渡されたフォークが入っていました。
「代わりに真尋さんのを、毎日刺して下さいね!」
と返して、真尋さんをはにかませたのは、今でもありのままに記憶に残っています。
それにそっと口づけします。
私は何一つ後悔も、悲しみもない事を確かめて、再びそれを元に戻しました。

  • 最終更新:2014-08-16 11:32:45

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