【未完】クリスマスイブ

這いよれ!ニャル子さん でエロパロ
882 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/06/17(日) 19:31:53.47 ID:3n0DCnrV
ギャルゲ世界に取り込まれた時に、クリスマスイベントでイブの夜の町を埋め尽くすカップルの群れを眺めるうちに
つい恋人たちの雰囲気に呑まれちゃって、「どうせ仮想世界だし… ナニやってもどうせチャラだし…」とつい勢いで
ラブホで御休憩しちゃって、エンディングの何かしら謂れのある樹のしたで、「エッチのあとで告白なんて、順番が
逆になっちゃいましたね…」とか言いながらキスして、現実に帰還したあともエッチした記憶が残ってる真尋さんは
ニャル子のことが気になって気になって

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16 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/06/24(日) 00:08:04.33 ID:awLqZzOr [1/2]
前スレ>>882のネタで書いてみた

「にしても真尋さん、このゲーム、けっこうグラフィックに力入ってますよね」
「…僕もう、これが現実なのかゲームの中なのか、いいかげん区別つかなくなってきた」
ゲーム世界で次々に発生するイベント。目まぐるしく入れ変わるステージ。いつの間にか真尋はニャル子と二人連れ添って
人々でごった返す夜の街角を歩いていた。
真っ暗な空をバックに舞い降りてくる雪をぼんやりと目で追いながら、真尋はやれやれ、と思った。ほんとうに絵に描いた
ようなホワイトクリスマスだ。
きらめくイルミネーション、どこからか聞こえてくるクリスマスソング… いかにもそれっぽく演出されたイブの街は、
今風の商業主義に踊らされた刹那的な消費活動イベントといった感じの浮ついた雰囲気をただよわせている。
さっきからスケジュールが押してるのか、それともゲーム進行を急ぐプレーヤーがリターンキー連打しまくりなのか、
はたまた脚本がネタ詰め込み過ぎて尺が足りないのか、とにかく次から次へとノンストップでシーンが入れ変わって
わけのわからないイベントをこれでもかと消化させられて、真尋はこのでたらめな世界にほとほとうんざりしていた。
しかも、さっきから続くクリスマスイベント三連チャンというテキトーでイミフな展開に、細かいことはもうどうでも
良くなりつつあった。
そんなゆるゆるダウナー系の真尋とは対照的に、ニャル子のほうはおおはしゃぎだ。いつにも増してテンションが高い。
「ついに来ましたよクリスマス決戦! 主人公が全ヒロインの中から遂に本命の娘を選んでデートするとゆー、ゲーム中で
屈指の一大不純異性交遊イベントがっ」
「…いやニャル子、お前で三人目なんだ」真尋がそう白状すると、ニャル子はがくっとズッコケたが、すぐに立ち直った。
「でもこの雪、なんだか世界中が二人を祝福してるみたいですねー。わたしたち、まるで新郎新婦」
「だれが新郎だ…」真尋は溜め息をついた。
こいつが何を言いたいのかわかってる。さっきニャル子から手渡された一枚の書類。自分のジャケのポケットに
折りたたんで突っ込んでる婚姻届のことだ。
彼女にこの紙切れを渡されたとき、ピロ~ンという効果音とともに、真尋の目の前の空間にゲームのウィンドウ画面が
ポップアップした。
「ふざけてる…」
選択肢は三つ。
(1)この場で破り捨てる
(2)この場で書類にサインする
(3)とりあえずあずかっておく
……こんなにも恐ろしい選択肢があるギャルゲーは生まれて初めてだ。
(2)の書類にサインするってなんだよ、どーゆーことだよ、それってどうみたってバッドエンディングだろと
真尋は心底恐れおののきながらも、それでもゲームのエンディングは消去法で一応ニャル子にしとこうと
渋々ながら決めていたので、無難なところでエンディングに影響のなさそうな(3)を選んでみた。
書類を折りたたんでポケットにしまい込むと、(3)の文字列がチカチカとまたたいて選択肢のウィンドウ画面が
ふっと消えた。
その瞬間、真尋は、何かがカチリと音を立ててセカイが切り替わったような気がした。まるでアドベンチャーゲームで
特別なアイテム入手がトリガーとなって、それまで閉じられていた別エンドへのルートが開いたかのようだった。
ニャル子はさっきからにこにこしている。
「真尋さん、さっきお渡しした書類になにか不備はありませんでしたか? じゃあ今から市役所に提出しに行きましょう」

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26 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/06/24(日) 21:14:43.86 ID:awLqZzOr [2/2]
>>16の続き
ニャル子がじゃれついてくるのでマフラーが乱れて外れそうになるのを整えながら、真尋は
「…そんなことしたら停学どころかイッパツで退学喰らいそうだな」とぼやいた。
そんな彼を、ニャル子はからかうように、
「いやですねぇ真尋さん、これってただのゲーム中のイベントですよ? そんなことあるわけないじゃないですか」
「いや… でもあの書類、なんかホンモノっぽかったぞ」
「そりゃあ、外の現実世界にある、ちゃんとした市役所の窓口で貰ってきましたから」
「ホンモノじゃねーか!」
さすがニャルラトホテプ、用意周到というか、人を策に陥れる気マンマンだ。真尋はがっくりとうなだれた。
ときおり通り過ぎる車のヘッドライトが、真尋とその隣に立つニャル子をまばゆい光で照らし、次の瞬間、
連れ添ってたたずむ二つのシルエットに変える。
ニャル子は両手を伸ばしてうーんと背伸びをしてみせると、きょろきょろと周りを見回した。
「それはそうと真尋さん… なかなか場面転換しませんねェ」
「…そういやそうだな」
しばらく無言が続いた。
真尋は夜風に当たりながら、久しぶりにのんびりと安らいだ気持ちで、連れの娘の赤のコートとロングブーツ姿を眺めた。
明滅するネオンの光にくっきりと縁取られた女の子の輪郭。
闇の中にこうこうと輝くニャル子の銀髪は幻想的で、まるでシルクのように美しかった。夜のやわらかな風に吹かれて、
ほつれた髪の毛が色とりどりの光を反射して、きらきらと輝いた。
その下にある顔は影になって表情が良く見えないが、碧の宝石みたいなふたつの瞳はずっと真尋のほうを見つめている。
さっきのステージでのバニーガール姿を思いだしながら、あの衣装はもう着ないのかなと、コートとブーツのすき間から
覗いた生脚に思わず目がいってしまった真尋は、あわてて視線を逸らした。
「ひょっとして、ゲームプログラムのバグですかねェ」
「なんだよそれ!」
ニャル子はひょいと肩をすくめてみせ、
「何せ伝説の呪われた恋愛シミュレーションゲームですから、バグも結構あるかと」
「そんな… どうすりゃいいんだよ」
ニャル子は顔を寄せて、真尋の瞳をぐっと覗きこんだ。彼女の開いた瞳孔にネオンの光が反射して揺らめく。
「どこかに隠しアイテムがあって、それをゲットしないと次のステージに進めないのかもしれませんねェ」
「アイテム探すって… ここ、すっげーマップ広そうなんだけど」
「そうしないとクリアできませんよ」
真尋は、夜の大通りを熱帯魚のように行きかう人混みに視線を泳がせた。
「そういや、これってクリスマスイブなんだよな」
「そうですよ? わたくしは今宵、真尋さんにエスコートしていただくことになりまして、めっぽうコーフンしている
次第です」
「僕はいつもされるほうだけど… ま、ここならナイトゴーントも出てこないだろうし、形だけでもエスコート役を
つとめさせてもらうとするかな」
ニャル子は「にへら」という擬音がつくような笑みを浮かべ、
「んじゃ~、ぶらぶらふらつきますかッ!」
「ん… ああ」真尋はあいまいに返事した。

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98 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/06/30(土) 19:30:10.45 ID:qmMNDx5D [1/2]
>>26の続き
真尋はニャル子と手をつなぎ、そこかしこにたむろする盛りのついたアベックどもの間をすり抜けるように歩いた。
イルミネーションを浴びた銀髪がシャンパンゴールド色にきらめいて、着飾った女性たちの中でもニャル子はひときわ目立った。
(やっぱこいつ、イケてるよな…)真尋は感心した。
すれ違う人々の視線を感じる。多くはニャル子の容姿に向けられたものだったが、中にはじっと真尋を注視する若い女性も
幾人かいた。
イブの夜に、こうして自慢の彼女を連れて皆に見せびらかして歩いてるという状況は、若い割にぜんぜん見栄っ張りじゃない
彼にしても、それはそれでやっぱ嬉しいというか、内心舞い上がっちまいそうだったが、それと同時に、なんだか崖の淵に
いるような、はたまたキルゾーンに踏み込んだような、そんな背筋の冷えるような怖い気もして、妙に複雑な気分だった。
しかしそこは男のサガで、一瞬アタマで(これってひょっとしてイケるんじゃね? あわよくばヤレるんじゃね?)などと、
不埒なことを考えてしまふ。
真尋でさえそうなのだから、一途で好色なニャルラトホテプが考えてないわけがない。
「な~んか皆さん、性欲でギラギラしてますねぇ」
「イブってある意味、セックスデーだし… そもそも、なんでクリスマスにエッチしなきゃいけないんだろう?」
ニャル子は含み笑いをして、
「真尋さんは潔癖症ですねェ~。 ひょっとして童貞ですか?」
「童貞で悪かったな…」いじける真尋。
「全然構いませんよッ! むしろ大歓迎です!」
長いアホ毛が嬉しそうに揺れて、ちょうちんあんこうの触手のように真尋の視界をいったりきたりする。
「ということなら、これはせっかくのいい機会ですし、わたしたちもアレしちゃいませんか?」
「アレってなんだよ」
「もーとぼけちゃって… チョメチョメですよチョメチョメ」
「ぼっ、僕は別にお前とクリスマスの思い出をつくりたいわけじゃない!」
「まーた照れちゃって」
(そんなふうにギラギラしてるから男にヒかれるんだぞ…)と思いながら、真尋はニャル子の誘いを華麗にスルーしつつ
話題をシフトフェンジした。
「…なぁニャル子、どこかに隠しアイテムがあったとして、どうやって探すんだ?」
「そ~ですねェ …たぶん、カーソル当てるとチカチカ光ったり、ぴょんぴょん跳ねて知らせてくれたりとか?」
「僕の視界にはカーソルなんてどこにもないんだけど…」
「じゃあ、ターゲットに照準を合わせてスイッチオン!」
「お前の視界には十字レティクルがあるのかよッ!?」
「へへへっ、わたし、真尋さんを見ると、自然と目が十字になっちゃいますよ?」
「それって僕とじゃなくて、アニメイト行ってヲタクグッズ漁ってるときだろ?」

99 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/06/30(土) 19:30:56.83 ID:qmMNDx5D [2/2]
そんなことを言いながら真尋は、ニャル子がさっきからしきりに、自分が巻いているマフラーをチラ見しているのに
気がついていた。
真尋のほうも、これを貰ったときから妙に長いと思っていた。
(何だかんだ言って、やっぱり女の子だよな…)
いつも守ってくれてるのに、つい邪険にしてしまうことへの後ろめたさみたいなものも感じていたし、女の子にここまで
させておいて何もしないってのもネンネ過ぎる。
立ち止まってニャル子と向き合う。
「ほれ」
さっきニャル子がネクタイ巻きにしてくれたマフラーをほどき、短めに巻きなおして、長く余ったほうを彼女に差し出す。
「真尋さん??」
きょとんとするニャル子を引き寄せ、二人の距離をうんと縮めたまま固定するようにマフラーを巻きつけた。
マフラーをまわす指先に、彼女の首すじが触れる。きめ細かく柔らかい女の子の肌。
お互いもたれかかるような体勢になって、めっさ顔が近い。でもって身体が密着して歩きづらい。真尋は相手の腰に
腕を回し、離れていかないように身体の重心を支えた。
(これって周りから見たら間違いなくデキてるって思われるよな…)
根っからの奥手で恥ずかしがり屋の真尋にとって、己が持てる男子力を総動員した行動であり、まるで、これから
童貞を捨てるかのような勢いで緊張した。
ニャル子は両目を白い丸(○ ○)にさせて、「を゙を゙を゙を゙を゙…」と名状しがたいうめき声のようなものを発している。
「…ったく、にこいちマフラーって、どんな少女漫画だよ…」真尋は溜め息をついた。
「わっわたし… 真尋さんと繋がったままこんな街中歩くなんて、頭がフットーしそうだよお状態ですうーっ」
「そっちの少女漫画かッ!」
そうやって二人が歩いて行くと、雑踏の向こうにサンタクロースが立っていて、こっちに手を振っていた。手前の空間に
メッセージボックスが浮かんでいる。
「あれってやっぱり…」
近づいてみると余市だった。
半透明で後ろが透けてみえるウィンドウにはこう表示されていた。
「やぁ、僕の名は余市健彦。 八坂真尋くん、困ったことがあったら何でも聞いてくれよ」
                                       つづく

  • 最終更新:2014-08-16 11:14:40

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