【未完】二人きりの夜

117 名無しさん@ピンキー [sage] 2012/05/03(木) 02:21:09.82 ID:GNqa9W0i
八坂家。
今日はまた両親は小旅行、クー子は久々に帰省ということで家には真尋とニャル子
しか居なかった。大騒ぎするニャル子をやっと静かにさせて、やっと2階に逃れて
きた真尋だった。
「疲れたな今日は」
洗面所で、歯を磨きながら独り言をいう。例によってニャル子から強烈なモーション
を掛けられ続けていて、それを払いのけるだけでエネルギーを使い果たした感じだった。
だが、疲れはそれだけではないような気もした。真尋も健康な男子である。外見は
美少女のニャル子に惹かれる自分がいるのを否定することはできなかった。

もちろん本人にそんなそぶりは見せるわけにはいかないが。
鏡に写った自分をみながら独り言をいう。

「確かにかわいいよなニャル子・・・」

118 名無しさん@ピンキー [sage] 2012/05/03(木) 02:21:31.72 ID:GNqa9W0i
「でしょー」
突然真後ろで頓狂なまでにでかい声がするので真尋は飛び上がる。
後ろを振り向くと、息がかからんばかりの至近距離にニャル子が立っていた。
「げ、いつの間にいやがった!?」
「ずっと居ましたよ、真尋さんの歯磨きシーン堪能させてもらいました」
「お前幽霊かよ」
歯磨きということで残念ながらフォークの持ち合わせがない。歯ブラシを武器にする
わけにもいかず真尋はニャル子を睨みつける。
そうだった。こいつは鏡に映らないんだった、油断した。


「真尋さん、本音がでちゃいませんでしたか?」
ニャル子がいやらしい笑いを浮かべて真尋に言う。
「き、聞いていたのか」
「そりゃもちろん」
ニャル子はヒヒヒとでも形容する他ない笑い声を上げながら真尋に向けて身を乗り出す。
「こ、こいつ」
ニャル子はいつの間にかパジャマを着ている。表情こそ嫌らしかったが、確かに魅力
的な体、それにいい匂いがする。
「おまえなー」口ではそういいながら、体をぐいぐい押し付けてくるニャル子にどぎまぎ
してしまう。
そんな真尋の様子を察したのか、ニャル子がちょっと真顔になって言う。
「真尋さん、今日は二人きりですよ? そろそろ私たち次の段階へ進んでもいいんじゃ
ないですか?」
どういう段階があって、そもそもゴールがなんだかわからない、想像したくもないが。
しかし目の前の魅力的な美少女を前に真尋の頭の中でなにかカチリとスイッチが入った
ような気がした。

119 名無しさん@ピンキー [sage] 2012/05/03(木) 02:22:56.62 ID:GNqa9W0i
なかばボンヤリしながら真尋は言ってしまう。
「お前、ほんとにいいのか・・・」
「もちのろんですよ、真尋さん。真尋さんと結ばれるのだけがここへ来た目的なんです
から」
・・・惑星保護機構の仕事じゃなかったのか?
「そもそも真尋さんの自制心の強さには驚いてました。この人間フォーム、調査した
真尋さんの好みにピッタリ合うようになっているはずです。その誘惑を無視し続けるとは
こちらの調査データに間違いがあって、真尋さんがゲイじゃないかと疑い始めてたぐらい
です」
「ひ、人聞きの悪い。僕だって普通の高校生だ」
「なら真尋さん、自分の欲望には正直になった方がいいですよ。このまま禁欲を続けたら
真尋さんのSAN値は回復不能なまでに低下するはずです」
「で、でも」
「いいじゃないですか、減るもんじゃなし。あ、真尋さんのはちょっと減るかもしれませんね」
まったくムードも何もあったもんじゃない誘惑だった。しかし真尋が拒絶しようとして
伸ばした手は、意思に反してニャル子の背に回った。
「ニャル子・・・」
「ま、真尋さん・・・」
ニャル子もすっかり真顔になる。こんなニャル子の表情を見るのは初めてだ。
「でも僕、こういうのは初めてだから・・・」
「何言ってるんですか真尋さん、私だって、えーと」
ニャル子が口をフッと曲げて視線をそらす。
「ニャル子お前?」
「まあ私も宇宙大学を卒業して就職しているような年齢ですし、それなりにいろいろ過去もあり
ました。・・・でも誓ってこの地球人フォームの体では初めてです、真尋さんに上げようと決めて
ました!」
ラノベ的にヒロインの過去を詮索するのはいい結果を生まない。真尋もそれはとりあえずそれに
ついては考えるのはやめようと思う。
「真尋さんが不安に思うことはないですよ。このニャル子がしっかりリードしちゃいます!」
腕を引っ張ると真尋の寝室に向かって行った。

つづく

125 名無しさん@ピンキー [sage] 2012/05/03(木) 20:58:11.11 ID:GNqa9W0i
まだ迷いがある真尋の腕を引っ張って、ニャル子が真尋の部屋に入ってくる。
「真尋さんの部屋、真尋さんのベッド。夢にまでみてましたよ私」
「お前何度も入った事あるだろ。それも無断で」
部屋どころか、気がつくとベッドで一緒に寝ていた事もあったわけだが、ニャル子は
そういうことは都合良く忘れているらしい。
部屋に入るとドアにちゃんと鍵をかけ、ニャル子は真尋をベッドに端に座らせた。
「どうせ家には誰もいなんだけどな」
「戸締まりはしっかりしておかないとどういう邪魔が入るのかわかったもんじゃあり
ませんから。覗かれても困りますし」
「クー子ってそういう趣味もあるのか?」
「私クー子のクの字も出してませんよ真尋さん」
そう言いつつも、ニャル子の瞳が真尋の推測が正しいことを告げている。

「さあやっと二人っきりになれましたね」
並んで座ったニャル子が真尋の胸に頭を預け、片腕を真尋の背に回し、もう片方の
手の人差し指で真尋の膝から腿をくるくるとなぞる。
ニャル子は薄いピンクのパジャマを着ている。つややかな銀髪と似合って確かに
美しかった。
真尋を見上げる表情がやや品位を下げていたが。
「真尋さんはどういうのがお好みなんでしょうか」
そういいながら自分でパジャマのボタンを二つほど外す。覗いた胸元から黒のブラ
ジャーがちらりと覗く。一見して高級感あふれるフリル付きの奴だ。
ごくり、と唾を飲み込む真尋だったが、「なんかパジャマの印象と合ってないなあ」
と感想をいうのも忘れなかった。
「こういう時にもあくまで冷静さを失わず突っ込むんですね真尋さん。外見は処女の
ごとく、中身は脱兎のごとくですよ」
相変わらずこいつの日本語は良くわからないが、とにかくいつもと違って拒絶もしな
いで真尋もニャル子を見つめる。

&color(#CCCCCC){127 名無しさん@ピンキー [sage] 2012/05/03(木) 21:04:35.60 ID:GNqa9W0i
↑すみません。ペーストに失敗しました。貼り直すので126は飛ばして下さい。 }

ここまで勢いで来てしまったが、真尋の理性が本当にこれでいいのか、と自問して
いた。
やっぱり初めては好きな人と・・・いや、僕ってニャル子の事が好きになってないか?
それとも単に情が移っただけなのか、主としてペット的な意味で?
あれこれ考えてしまい、なかなか次の行動に移れない。
「もう真尋さん、ドキドキしちゃってますね。でもやっぱりパジャマの続きは殿方に
脱がしてもらった方がいいですよね。真尋さんもそっちの方がいいですよね」
本当にこれが初めての二人のときなのかと疑いたくなるぐらい喋り続けるニャル子。
ニャル子が手をシーツの上で滑らして、枕の下に達したとき、ちょっと顔色が変わった。
枕の下から抜いた手にはフォークが握られている。
「こ、こういうのを使ったプレイはまだ私たちには早すぎですよね」
部屋の向こうに真尋の護身用フォークを放り投げた。こうなると真尋にニャル子を拒絶
する術はない。

「さあ真尋さん、一緒にロマンチックな夜を過ごしましょう!」
そう言うと、真尋をぐいっと押し倒し、真尋の上に馬乗りになった。
「え?」
体重こそ重くは感じなかったが、その体躯の少女としては驚くほどの力で真尋にまたがる。
「ちょ、ちょっとこういうのは、心の準備が・・・」
真尋が言う。
「いいじゃないですか真尋さん、女性からだっていいじゃないですか、そういう時代です
よ地球も」
「だ、ダメだ、ほら、その避妊とか」
口からでまかせのようでありながら、確かにそれは心配だった。ニャル子のことだ、
子供ができたらその既成事実を元に真尋を追い込んでくるにきまっている。
「大丈夫ですよ。宇宙オギノ式で今日は安全日です」
そもそもニャル子が基礎体温を計っているなんて聞いたことがない。
「お前思いつきで言ってるだろ。それにオギノ式は完全じゃないって保健体育で習った」
「ち、ゆとり世代といえ性教育だけはちゃんと受けているようですね。大丈夫です。
こういうこともあろうかとちゃんと準備していました」
ニャル子の手に、3センチ角ほどのアルミのパッケージがある。もちろん真尋もそれが
何かは知っていた。

まだつづく


132 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/05/04(金) 12:57:21.69 ID:To2cc9Pn
「なんだよそれ?」
判ってはいるが、一応は言ってしまう真尋であった。
「知らないんですか? 最近結構話題になっている宇宙スキンです。付けてるかどうか本人
にもわからないという」
「あやしすぎだろ!」
「ふー、真尋さん、そんなに私と幸せな家庭を築くのがお嫌なんですか?」
ニャル子が悲しげな顔になる。こういうところはニャル子のずるいところだ。思わず優し
い言葉を掛けたくなってしまうほど弱々しい表情。
「いや、そんなことは言ってないけど・・・」
「でも真尋さん、私の持って来た避妊具が信用できないんですよね」
「いや、そうじゃなくてさ、万一ってことがあったら大変だろ。ニャル子にも迷惑かけたく
ないし」なんとか言い訳をする。「僕は高校生だろ。収入もないからまだ家庭を持つなんて
無理だよ」
経済的以前に邪神との家庭を築くつもりなどハナからないのだが。
会話そのものもどこか矛盾しているのだが、いつもは冷静な真尋でさえ突っ込むことができ
ないほど混乱している。


133 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/05/04(金) 12:58:56.53 ID:To2cc9Pn
「それなら大丈夫ですよ。私公務員だし安定してます!」
「そんなに収入あるのか?」
「こんなことを言ってはなんですが、地球のGPPとは比べ物にならない経済成長っぷりですよ、
私の星は」
「なんだそりゃ?」
「Gross Planet Productですよ。惑星総生産。まあ最近は日本円高のせいで宇宙円の価値は
かつてより下がりましたがそれでも地球の水準でいえば十分余裕でやってける収入です!」
「どこでそんな為替相場が決まってるんだよ?」
ほとんどベッドの上とは思えない会話が続く。

「しかし真尋さんの言う通り、子づくりは安易に考えるべきじゃありませんね。最近は出来
ちゃった婚が流行ってますが」
「知らないよ、流行ってるのかよ」
「私も真尋さんの気持ちは大事にしたいと思ってます。そんな騙し討ちみたいなことはしま
せん。絶対安心だと誓います」
急に真剣な表情になるニャル子。
「うっ」真尋は言い返せない。

「ですから真尋さんも諦めちゃってください。ここで断るなんて私蛇の生殺し状態ですよ。
もう先っちょだけでいいですから」
「もう立場と言ってることが男女逆だろ」
真尋もそうはいうものの、だんだん諦めの気持ちが強くなってきたのか声に力がない。
もう観念するしかないのだろうか・・・?


  • 最終更新:2014-08-16 09:33:42

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