【未完】真尋×エプロンニャル子
210 名前:真尋×エプロンニャル子[sage] 投稿日:2012/05/10(木) 01:05:07.27 ID:Bgio6dT9 [1/3]
なんだか頭がぼんやりする。
目が覚めて最初の真尋の感想がそれだった。
時計を見れば十時をまわっており、学校がないとはいえやや不健康な時間だった。睡眠を取り過ぎたせいだろうか。
そんなことを考えながら服を着替えて部屋を出た。
ドア一枚の有無で遮音効果はずいぶん違う。
廊下に出ると階下の楽しげな歌声が聞こえてきた。
近所迷惑になるのでせめて鼻歌に留めてほしいところだが、今のところ聞きいれられたことはない。
「♪インスマーウス インスマーウス インスインスマー…あ、真尋さんおはようございます。…と言ってももうストーハット海賊団の航海も『来週もまた見てね』な時間ですが」
「よりにもよってなんて歌うたってるんだよ…まぁいいや。おはよう、ニャル子」
応えると、『おはようございます』と言って笑う。
先に挨拶をしたのは自分なのに、妙に律儀な邪神だ。
「朝ゴハンどうしますか?すぐ出来るようにはしてありますけど」
「あーうん、時間が時間だし、軽めで食べたいかな」
「わかりました、軽めですね!」
「言っとくけどお前じゃないから」
ニャル子がスカートの裾に手を伸ばしたので先手を打つ。小声で「Bまででいいですのに…」とか聞こえる。
「すぐに準備します…」
肩とアホ毛をしょんぼりしながらキッチンに這いよる混沌だった。
「まったく……」
朝から元気なことだ。この邪神のことなのでBが何を意味するか知れたものではない。ひとつ息を吐いてテーブルに着く。まだ頭はすっきりしない。何かが噛み合っていないような、変な感じだ。違和感、とでも言えばいいのか。
そんなことを考えているうちにテーブルの上に二人分の食事が並べられる。
「お前も朝食まだだったのか?」
「真尋さんより先に食べるわけないじゃないですか」
真尋用のコーヒーを入れながら、さも当然のように。
「いただきますっ」
気恥ずかしさを覚えた真尋はそれを誤魔化すようにハムエッグを口に運ぼうとして-ぴたりと止まった。
なぜだろう、今何かをしてはいけない気がした。それが何かまではわからないが。
「真尋さん?」
「え…いや、何でもない」
頭を振ってハムエッグを口に入れる。焼き加減が絶妙で、卵を焼いただけの料理でも腕の良さがうかがえる。
「ん…、うまい」
真尋用のコーヒーにお湯を注いでいたニャル子がにこりと笑う。
その笑顔を注視できなくて視線を外す。視線の先では着々と飲み物が用意されていく。
それぞれのコーヒーと紅茶にスプーン二杯分の砂糖が溶けていくのを真尋はぼんやりと見ていた。
211 名前:真尋×エプロンニャル子[sage] 投稿日:2012/05/10(木) 01:08:01.23 ID:Bgio6dT9 [2/3]
***
食事が終えた真尋はソファーに深く身を預けた。
やはりどこか調子が悪いのだ。自分ではっきりと言えないのもおかしな話だが、別にどこか痛いわけでも辛いわけでもない。
思考の端に何か引っかかるものがあって、それが何かがわからない。
まとまらない思考を吐き出すようにため息を吐くと、キッチンで後片付けをしていた邪神が目ざとく見つけてきた。
「真尋さんお疲れですか?おにぎりでも食べます?」
「何でだよ。今朝食食べたばかりだろ」
「食事で体力回復は基本ですよ」
「いやその理屈はおかしい」
だったら朝食を食べた時点で回復しているはずである。
「冗談はさておき、ひょっとして風邪ですか?風邪は引きはじめが肝心ですよ」
白い手が真尋の額にぺたりと合わさる。もう片手はニャル子の額にのせられていて、「ううん」と首を捻りながら比べている。手の温もりが心地いい。
「よくわからないですね…。ちょっと失礼」
額に乗せた手を前髪ごと持ち上げる。こつん、と可愛い音とともに額同士が重なる。
「ちょ、ニャル子」
「撃つと動きますよ。間違えた、動くと撃ちますよ真尋さん」
「何を撃つんだよ」
「ん~、熱はなさそうですね」
華麗に無視された。眼前の貌にむしろ体温が上がった気がするが、性分か口は全く正反対の言葉を溢す。
「…お前の方が体温高くないか」
「私は真尋さんにお熱なので」
よくわからない理論が出た。
「もういいだろ、はなれ…ん」
ほんの一瞬、唇が重なる。顔を離すニャル子のアホ毛の先がハート型に丸まっている。
期待するような表情はほんのりと紅く染まっているが、きっと自分の顔はそれ以上に赤い。
「な、何だよ?」
「いえね、ご不調の原因は疲れ以外のモノが溜まっているのではないかと思い至りまして。旦那様の健康管理も妻の務めですから」
誰が妻だと言いかけたが、いまだにエプロンを身に着けたままのニャル子は新妻ファッションに見えなくもない。外見年齢的には幼な妻とも呼べるかもしれない。外見だけなら。
「……マヒロさん?」
セブンセンシズにでも目覚めているのか、目の前の少女から表情が消えた。身の危険を感じて誤魔化すように頭を撫でてやる。
「何でもない…。てか、お前朝からそんなこと」
「もうお昼ですよ」
「脊髄反射で屁理屈を捏ねるの止めろ……明るいうちからってことだよ」
「時間は有限ですよ。細かいことは言いっこなしです」
口ではふざけたことを言いながら、ニャル子は期待に潤んだ瞳で真尋の手に頬擦りをする。心臓が大きく跳ねる。こういう行動に限って狙わずにやっているのだからタチが悪い。
「あー、もう。ここ来いニャル子」
折れた、というよりは誘いにのったというほうが正しいだろう。ソファーを叩いて隣に来るよう促す。口調はぶっきらぼうでも、真尋もニャル子と同じだ。目の前の人を求めている。
ニャル子は顔を輝かせて隣に座り、喜々としてエプロンの紐を解きはじめた。
「いいよ、そのままで」
先ほどのニャル子の妻発言を意識しているわけではないが、男としてエプロン姿はそそられる。
正直なところ、はやくこのきれいな生き物に触れたくもあった。
細い肩を軽く押してソファーの上に横たわらせる。胸元を無理に下に引くとたわわな乳房が顔を出した。
「ふふふ……エプロンを着けたままとは通ですね真尋さん。そんなところ、嫌いじゃない嫌いじゃないですよっていうかむしろマジLOVE1000パーセn」
「お前少し静かにしろ」
親指で唇を押さえるとそれだけでニャル子は押し黙る。眉が下がっているところを見るに、多少は反省したのだろう。けしてボケが最後まで言えなかったからではないと信じたい。
とりあえずは大人しくなったので、ごほうび代わりにおでこに口づける。ちゅ、とかわいらしい音が鳴る。途端にニャル子の顔が真っ赤になった。
いつもあけすけなくせに、女の子扱いされると弱いらしい。
そんな様が面白くて、額から頬へとキスを降らしていく。ちゅ、と音が鳴るたびに細い身体が跳ねる。普段振り回されている真尋としてはとても気分が良かった。
「や、真尋さん、くすぐったいですよぅ」
困ったように眉をよせているが、声には確かな喜悦が滲んでいる。
212 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/05/10(木) 01:18:57.07 ID:Bgio6dT9 [3/3]
アニメ4話のエプロンが可愛かったので、とりあえず書き上げたとこまで晒す
スレに書くの初めてなんで体裁読みにくかったらゴメンナサイ
あの新妻ルックにコメントなしとか…真尋は賢者か…
- 最終更新:2014-08-16 09:41:17