ニャル子「私もう堪忍袋の緒が切れました」

560 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/06/01(金) 00:35:13.69 ID:UILOMxfx [1/4]
寝る前に投下。
伝説の木ネタアニメにあったばかりだけどごめん。書き直すのめんどかった

「おい、どういうことだよコレは」
 真尋は違和感に目を覚ました。
 睨み付ける先では這いよる混沌ニャルラトホテプことニャル子が仁王立ちしている。いつものワンピース姿だがその首元にリボンはない。
 枕元に常備しているフォークに手を伸ばしたいが、肝心の手首は見覚えのあるチェッカー模様の布で固く縛り付けられていた。
「だって、真尋さんいつになってもルート確定してくれないから。私もどうしたら真尋さんに振り向いてもらえるか考えたんですよ。
 ……そんな折に地球のバイブルを見た私はある結論に達しました。体からはじまるLOVEもある!」
 何か胡散臭いものが出てきた。
 ツッコミをいれようとして、それ以上に聞き流せない言葉が聞こえたような。
「……体から?」
「私は真尋さんのために常時E:勝負パンツでお待ちしているのに……少しはエロゲの主人公を見習ってください」
 攻略キャラは私しかいませんから安心してください、と付け加えながらニャル子がベッドのうえに乗り上げる。
「あれだけイベントこなしているのにこの好感度……何なんですか、どこぞの幼なじみですか、いつになったら伝説の木の下に来てくれるんですか」
「うちの学校に伝説の木はねぇ!」
「ツッコむところそこですか?ともかく、私堪忍袋の緒が切れました」
 ニャル子が真尋のパジャマのズボンに手をかける。
 その行動にさすがに真尋も驚いた。今まで行き過ぎたアプローチをかけられたことは数え切れなくても、ここまでの実力行使に出られたのは初めてだった。
「ちょ、バカ、やめろ!」
「うふふ、お顔に似合わずなかなかご立派なものをお持ちで」
 ニャル子は舌なめずりをしながら露出した真尋のペニスを掴む。
 白い指がまだ柔らかいそれを揉むように優しく動く。真尋とて健全な男子高校生だ。初めての他人からの手淫に(しかもまがりなりにも相手は美少女である)反応しないわけがない。
「さ、わんな……!」
「そんなこと言って、真尋さんのここガチガチですよ?…あ、先っぽから透明の出てきましたよ。これ、気持ちよくて出ちゃうんですよね?」
 言いながら顔を近づけたニャル子が先端に恭しく口付ける。
 突然の刺激に腰を跳ねさせるとペニス越しに少女が嬉しそうに笑い、そして躊躇なく小さな口に招き入れた。
「うあ、あ、ニャ、ニャル子……!」
 亀頭を口に含みながら、舌先がちろちろと鈴口を嬲る。その間も白い指は竿の部分をゆるゆると扱き上げている。
 邪神のくせに地球人の性行為が上手いとはどういうことだ。
「やめ、やめろって……!」
「ん、んん……ぷあ、真尋さんの、すごい……」
 時折口を離してうっとりと呟く。
 ニャル子の言葉どおり、真尋のペニスは限界まで勃起していた。
 中性的な顔に不釣合いなそれを、ニャル子は愛しげに頬擦りする。
 やわらかな肌の質感さえ十分な刺激だった。
「ふふ……私のお口はお気に召しましたか?」
 淫靡とすら思える笑みを浮かべて、ニャル子は再び口を開けた。
 今度は出来うる限り深くまで口内に咥える。
 腰の震えをどうにかやりすごそうと歯を食いしばる。
 相手はかの悪名高い邪神だ無貌の神だと言い聞かせるが、五感からの情報は遮断できるものではない。
 ふわりと香る甘い匂いも、時折漏れる息づかいも、熱心に奉仕を続ける顔もすべてが美少女のそれだった。
 むしろ、ニャル子の全てが真尋を追い込んでいく。

561 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/06/01(金) 00:35:54.17 ID:UILOMxfx [2/4]
「ひいれふよ、らひてくらはい……」
「ば、しゃべんなッ……!」
 一際強く吸われ、限界がきた。
 ニャル子の口の中に精液を吐き出す。
「んっ、ぷあっ!?」
 勢いに驚いたのかニャル子が口を離す。だからといって射精を止めることなど出来るはずもなく、飛び散る精液がニャル子の銀髪や顔、リボンのないエプロンドレスまで汚していく。
「ふあ……、こんなに出るんですね。飲みたかったのに失敗しちゃいましたよ」
 しばらく呆けていたニャル子だが、おもむろに顔に付いた残滓を指先で拭うぺろりと舌先で舐めとった。
「……ん、なんか変な味ですね……美味しくないけど、くせになりそうなかんじ……」
 蕩けた表情で呟いて、飛び散ったものを指で掻き集めては口に運ぶ。
 思わずニャル子の痴態を凝視してしまっていた真尋は急いで視線を外した。
 今しがた出したばかりだというのに、雄がしっかりと反応していることに気づいたからだ。
 これ以上は本当にまずい。今ならまだギリギリセウト。
「もう、いいだろ……。これ解け」
「何言ってるんですか、これからが本番ですよ」
 真尋の思いに反して現実、もとい邪神は非情だった。
 ニャル子が身体を起こした気配がして、シュ、と布擦れの音がする。
 音につられて視線をやると、ニャル子がスカートの中から黒いショーツを下ろすところだった。
「ニャル子、ほ、本気か?」
「私は正気です」
「僕は本気かって聞いてるんだよ!」
 クトゥルー的には正気であっている気もする。
 言い争う間に黒い下着が対照的な白い足から引き抜かれる。
「怖がらなくても大丈夫ですよ。この日のために教則ビデオを観まくりましたからね。房中術はばっちりです」
 だから何だその怪しげなものは。
 呆気に取られる真尋の前で、ニャル子はスカートの中に手を入れて具合を確かめる。
「あれ、あまり濡れてないですね…まぁいけるでしょう」
 不穏なことを呟きながら、ニャル子が真尋の身体を跨いだ。
 スカートの裾を持ち上げて、真尋に見せつけるようにペニスを掴む。先端が媚肉に触れるその熱さに意識せず息を飲んだ。
「いきますよ……、真尋さん」
「やめろって、おい!」
 ニャル子も興奮しているのだろう、その声は上ずっている。
 この期に及んで拒絶の意を示すも、真尋にはどうすることもできない。
 かといって目をそらすこともできずに凝視してしまう。
「あ、ぁっ、い、痛ぁっ、ああぁ!?」
 ほとんど悲鳴のような声を上げるニャル子の自重により、一気に根元まで胎内に包まれた。
「やぁ、イタ、痛いっ……!こんな、な、てっ……聞いてない、ですよっ……」
 真尋の腹の上に置かれた手がきゅっと指を握り、細かく震えている。
 ニャル子は引っ張りあげたスカートの裾を噛みながらふー、ふー、と浅い呼吸を繰り返す。
 この反応は、ひょっとして。
「お前、初めてでいきなり入るわけないだろ!?」
 経験のない真尋でも、女性の初めてが痛いらしいことくらいは知っている。
 あまり濡れていない中は狭く、ぬるりとした血の伝う感触が生々しい。キツすぎて圧迫感と痛みばかりが先立った。
 真尋がこうでは、ニャル子の負担は知れたものじゃない。
「で、でもビデオではどの地球人の男女も何の問題もなく性行為をしてましたよ?私の身体は今地球人に合わせてるから問題ないはず……」
「……さっきから言ってるそのビデオとかバイブルって何のことだ?」
「AVとエロ本(漫画含む)です」
「そんなもん参考にするな!」
「えぇっ、ちゃんと地球産のやつですよ?どの地球人女性も殿方のモノを舐めただけで自分もヌレヌレのグチャグチャで、初めてでも『あぁん、おっきいの気持ちいいっ』とか言ってましたよ?」
「AVだからだ!」
「は、謀られたー!」
 誰も謀ってはいない。

562 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/06/01(金) 00:37:08.57 ID:UILOMxfx [3/4]
 真尋はこの上なく脱力した。道理で時折おかしなことを言っていたはずだ。
 ニャル子はなおも『なんという孔明の罠』だの、『いくらなんでもファンタジーが過ぎますよ、これはフィクションです、では済まされません』だのブツブツ言っている。すべて自業自得だろうに。
 何よりこのままでは済まされないのは真尋の方である。
 精神的に脱力したおかげで多少余裕もできたが、今だ真尋の性器はニャル子の中に埋め込まれたままなのだ。
「ともかく、無理なのわかっただろ!?いい加減退け!」
「いっ……!急に、動かないでくださ……!痛いんですっ……!」
 ペラペラと喋っていたから大丈夫そうに見えたが、そうでもないらしい。
 真尋が暴れると涙目になって訴えてきた。
「そ、そんなに痛いのか?」
「はい、まあ……フォークよりかは、痛いですね……」
 破瓜の痛みは男である自分には一生知りようもないことだが、確かにニャル子を見る限りフォークの比ではなさそうだった。
「お前邪神だし、けっこう無茶もしてるから痛みには強いと思ってたけど……」
「わ、私はどちらかというと……ボコられるよりフルボッコにするほうなので……けっこう打たれ弱いんです、ガラスの触手なんです……」
 こんな時でもボケようという心意気は大したものだが、いつものようなキレがない。
 いやキレとかいらないけど。
「ちょっと待ってくださいね……情事においても頂点に這い寄る混沌ですよ私は……このくらい、慣れればどうってこと……」
 ニャル子に行為を止める気はさらさら無いらしい。
 荒い息を吐きながら、腰を上げようと試みては眉を顰めている。
「せっかく童貞をいただいたのにこの様では私の股間、もとい沽券にかかわります」
 真尋に見つめられていることに気づいたニャル子は、へにゃりと笑う。
「大丈夫ですよ、真尋さんはちゃんと気持ちよくしますから」
「『は』ってなんだ、『真尋さんは』って」
「今回は真尋さんを私の体の虜することが目的ですからね。他はどうでもいいですよ」
(どうでもいい……って、自分のことだろ)
 そう思ったが口には出さなかった。
 ニャル子が両手で真尋の頬を包み込む。その表情は弱々しく笑っていて、それでもどこかうっとりとして見えた。
「真尋さんが、私で気持ちよくなってくだされば充分です」
「なっ……」
 真尋は今日何度目かの絶句した。
 そもそもニャル子が無理やり推し進めたことであって、真尋の意思の挟む余地などなかった。真尋は完全に被害者だ。
 いい加減痺れてきた両腕がいい証拠だった。
 淫欲に落とそうとはなるほど邪神らしい奸計である。
 それが本当に邪悪で醜悪な奸計だったら、真尋とて拒絶できたのだ。
 だが、ニャル子はおそろしく一途なだけだ。おそろしく軸がぶれているけれど。
 この変に夢見がちなところがある少女が、今まで守ってきた理想を捨てても自分を求めてくれたこともわかるのだ。
 できるなら、どうにかしてやりたいと思う。
 だがこの気持ちの出所が判断できない。
 愛情なのか性欲なのか。同情かもしれない。
 まとまらない思考だけがぐるぐると巡る。
「だあーもう!!」
「ひえっ!?」
 真尋はここにきてキレた。
「いい加減に腕解けよ痛いんだよてかもうお前いらんこと頑張ろうとすんな!」
「こ、ここまできて嫌がらなくてもいいじゃないですか!」
「誰も嫌だなんて言ってないだろ!勝手に決めんな!!」
「………………………………ほえ?」
「………………………………ん?」
 思わず叫んだセリフにニャル子が固まった。
 真尋も固まった。

563 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/06/01(金) 00:43:39.28 ID:UILOMxfx [4/4]
続き書いたらオレ、結婚するんだ…

ニャル子が性知識はあるのに経験値0なのかと思うとたまらなくなった

─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ 

948 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/06/19(火) 22:43:24.80 ID:TuqjWIY0 [1/5]
流れぶったぎりで悪いが、次スレ行く前に>>560-562の続き。
なんかいろいろ詰め込もうとしてうまくまとまらなかった。


(いやいやいやいや違う違うそういう意味じゃなくて、え?え?)
 自分で自分の言葉を反芻する。
 そういう意味じゃなければどういう意味だ。
 愛情か、性欲か、同情か。
(何ナチュラルに選択肢の最初に持ってきてんだよ!)
 自分で自分にツッコミを入れつつ、自分で口にした言葉を反芻してようやく気づいた。
 真尋はこの行為がはじまってからニャル子を止めようとはしても、一度も嫌だとは思わなかった。
 身体を繋げてしまった今でも、ニャル子に腹は立つが嫌悪の感情は湧いてこない。
(ないないない、だってニャル子だぞ?)
 はっきり言ってしまえば、ニャル子は真尋にとって最も苦手なタイプだ。
 見てくれこそ可愛いが、不真面目で、傍若無人で、しかも人を巻き込む。
 できることなら生きていくうえで関わりたくないタイプだ。
 そんなニャル子にここまで許してしまっているというのは、つまりは――そういうことだ。
(う、そだろ)
 だが、一度芽生えた感情は当たり前のようにそこに居座っている。
 目の覚めたような心地で少女を見上げてみる。
 碧い瞳がまん丸になって真尋を見つめている。
 瞬きすら忘れて、純粋な驚きが顔に現れている。
 溜飲が下がるとかそういうのではなく、ニャル子が真尋の一言で心乱される様を見るのは悪くない。
 なんというか、可愛いとか。思ってみたりみなかったり。
 自分の思考が恥ずかしい方向に流れているのに気付いて、真尋は頬を紅くして顔を逸らした。
 ニャル子はといえば、真尋の一人百面相も視界に入ってない様子でいまだフリーズしていた。誰か金の針持ってこい。
「……ともかく、腕解けよ」
 話はそれからだとばかりにもう一度言うと、ニャル子はようやく腕のリボンを解き始めた。なんだか眼の焦点があってないが大丈夫だろうか。
 自由になった腕を気にしながらも上半身を起こす。ニャル子を気遣いつつ、できるだけゆっくりと。
 赤くなった腕をさすりながら、どう声をかけたものかと思案しつつニャル子の様子を窺った。
「……あのな、今のは……その……」
「……いえ大丈夫です。わかってますよ。今までも期待したあげくフラグ折られてますからね。
 真尋さんがここにきて落ちるとか……ふふ、ありようはずもない。幻想と妄想の区別ぐらいついてますよ」
「ついてねぇよ同じだよ」
 なんか謎の強迫観念に捕らわれていた。
 その原因は間違いなく真尋にあるのでコメントしづらい。
 いつもなら呆れるようなニャル子の態度も、今の真尋には申し訳なくさえ思えてくる。
 そこまで追い詰められるほど、ニャル子は真尋を好いてくれている。
 知っていたはずのことなのに、わかってはいなかった。
 一言はっきり言ってやればいいのだろうが、今までが今までだ。
 真尋の性格からして、はっきり伝えることなど簡単にできやしない。
 言わなければ伝わらないこともわかっているけど。
「だから……僕はお前のこと、好き……だと思う。たぶん……」
 この期に及んで余計な一言を付け足してしまった。
(そうじゃないだろぉぉ!)
 直後に自責の念に捕らわれて頭を抱えたくなったが、それでも現状を理解できたのか、ニャル子の碧眼が真尋を捉えた。
「……それとも私これ死ぬんですかね?それとも油断させてフォークでドーンとか?」
 全然理解してなかった。
「何でそんな発想になるんだよ」
「え?え?だってありえなくないですか?真尋さんがデレ……え、ギャグ?また食品と比べてとか、そういうオチ?さすがに何度も騙されませんよ私はちょっとは喜びますけど」
 この物言いにはさすがにイラっときた。
 今までさ散々振り回しておきながら、人がせっかく覚悟を決めたというのに。この不定形は。
 実に身勝手な言い分だが、兎にも角にも思い知らせてやりたくなったのだ。
 そう、思い知らせてやりたくなっただけ。

 だから思わずキスしたのは、何かの間違いであるはずなのだ。

「まひ、ろ、さん?」

949 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/06/19(火) 22:44:30.41 ID:TuqjWIY0 [2/5]
 驚きのあまり舌が回っていないニャル子の声を聞いて、とりあえず短気なのは直さなければと思った。
 こう何度も、我に返ってから恥ずかしい思いはしたくない。
「だからさ、その……こういうことだよ」
 気恥ずかしさからまともにニャル子の顔が見れない。
 異様に熱い頬が気になって仕方なかった。
「……真尋さん」
「……何」
「真尋さん」
「だから、何」
 顔を逸らしたままぶっきらぼうに答える。
 ニャル子はただ真尋の名前を呼んだ。
「真尋さん、真尋さん、真尋さん」

 確かめるように、何度も何度も。

「……うん」
「~~、真尋さん、大好きです!」
「うわっバカ!」
 感極まったらしいニャル子が思い切り真尋に抱きつく。
 後に倒れそうになるもがなんとかバランスを保つも、必然的に抱き合うような形になる。
「お、お前痛いんじゃなかったのかよ!」
「痛いですけど、うれしいです!」
 顔を離したニャル子の瞳は涙で濡れていた。
「だから……もっとしてください」
 額を寄せて囁く声に顔が熱くなる。
 愛しさが一滴の水のように胸に落ちて、じわじわと広がっていく。
 いつもなら自分から仕掛けてくるくせに、この時ばかりはニャル子は真尋を見つめたまま動こうとしない。
 あくまで真尋からしろということらしい。
「わかったから、目、つむれよ」
 そんなに熱の籠った目で見られていると落ち着かない。
 瞼が下がったのを確認してから、もう一度口付ける。
「ん……んぅ……」
 キスを受け入れるニャル子はそれは大人しいものだった。
 頬を紅潮させながら、与えられる分だけ甘受する。
 漏れる喘ぎに誘われるように、真尋からだんだんとキスを深くしていくと、すっかりキスに酔った様子のニャル子は惚けた顔を見せた。
「ふぁ、真尋さん……」
 いつも誘ってくるときの妖艶さとは違う、あざとさの欠片もない表情が逆に真尋の心をくすぐった。
(なんか、エロい……)
 こうしてしおらしくしていれば可愛げもあるが、普段からこれでは真尋が保たないかもしれない。
 心拍数とか、男の子の事情とか、そういう意味で。
 いろいろと衝撃すぎて忘れていた(忘れようとしていた)が、ここまで今だ繋がったままなのだから滑稽なことだ。 
 そういうことに興味があるかないかと言われればバッチリあるお年頃だし、好きな女の子相手となれば正直したい。
 散々拒否しときた過去があるだけにどうにもバツが悪く言い出せないが。
 正直な分身には徐々に熱が集まりだしている。
(いやまだまずいだろ、まだニャル子が)
「あの、真尋さん」
「えっ?な、何?」
 絶妙のタイミングで声をかけてくれたおかげに素っ頓狂な声が出た。
 心を読まれたかと思い焦るが、ニャル子の方がバツの悪そうな顔をしていた。
「真尋さんがしたければでいいんですけど……その、続き、しません?」
「は?」
 何でニャル子がちょっとやめる気になっているんだ。
 人がその気になったら引くとか、悪魔かこいつ。あ、邪神だった。
「お前、今さらそれ言うか……」
「私だってせっかく立ったフラグを折るようなバカな真似はしたくないですよ。だからですね、真尋さんの意思を尊重したいのですが……」
 いつになく歯切れの悪いニャル子はもじもじと指と指を動かしたり視線を彷徨わせたりしている。
「痛くないわけじゃないんですけど、奥の方が、その……ちょっと、じんじんしてきて……」

950 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/06/19(火) 22:45:00.26 ID:TuqjWIY0 [3/5]
 ニャル子が少し腰を揺らめかすと結合部がくちゅ、と水音を立てた。
 やわらかい媚肉がきゅうきゅうと陰茎を締め上げる。
「う、わっ……!」
「あ、やぁ、んっ……!」
 今までと違う膣の動きに思わず声が漏れた。
 それはニャル子も同じなようで、びくびくと身を振るわせる。
 真尋を見つめる碧眼が不安げに揺れる。
「ど、どうしましょう?私、気持ちよくなっちゃったみたいなんですけど」
 どうしましょうはこっちの台詞だ。
 頭の奥で理性とか羞恥とか、まとめて溶けてしまった気がする。
 だからたぶん、やさしくできなくなっても真尋のせいじゃない。
「言っとくけど、僕だって初めてだからな。上手くとか、期待すんなよ」
「は、はい……」
 いつもならここでニャル子の茶化してるのか本気かもわからないセクハラ発言が飛んでくるところだが、今は素直に頷くだけだった。
 らしくないのはお互い様なので構わないでおく。
 細い腰を抱え直してゆっくりと揺さぶる。
 それだけでも充分過ぎる快感が走ってすぐイッてしまいそうだった。
「あ、や、にゃうう……」
(何だ、これ……っ)
 キスだけで馴染んだそこは、先ほどまでが嘘のように濡れていた。
 思いのまま突き上げてしまいたくなるのを無けなしの理性で抑え込む。
「は、ニャル子……っ」
「まひろさ、あん、んん、あ、あっ、あう……!」
 それでも若い性欲を完全にセーブすることもできなくて、ニャル子の声がだんだん切羽詰ったものに変わっていく。
 首に齧り付く腕の必死さに気付いてあやすように頭を撫でてやる。
「ニャル子、辛いか?」
「ちが、くてっ……!こんなの、初めてで……ふあ、私、どうしていいか、あう……!」
 先ほど痛みに慣れていないようなことを言っていたが、快楽にはもっと慣れていないらしい。
 潤んだ瞳が真尋の顔を覗き込んでくる。
 耳に届く声が甘ったるくてしょうがなかった。
「はぁ、あ、真尋さん、真尋さんは、ちゃんと……きもち、いい、ですか……?」
「うん……」
「ふあ……、よかったぁ……」
 短く答えると、心底嬉しそうに破顔する。
 つくづく人の努力を無にしてくれる邪神だった。
 優しくしてやりたいのに、衝動ばかりが先走ってうまく形にならない。
 気付けば夢中になってニャル子を突き上げていた。
「ひにゃあ!奥、強すぎ、んあ、あ、だめ、響いて、くんっ……!コツコツするの、だめですっ……!」
 子宮の入り口を叩くとついにニャル子が音を上げた。
 駄目という言葉に反して、中は穿たれる度にきゅうきゅうと締め付ける。
 真尋とてこんなの耐えられるはずもなかった。
「やぁっ、真尋さ、あ、あん!私、なんか、おかしいっ、です……!」
 ニャル子の声に僅かに残った理性が警笛を鳴らす。
 互いにもう限界だった。
 さすがに中はまずいと体を離そうとするが、ニャル子が一層しがみつく腕に力を込めた。
「バカ、ニャル子!」
 慌てて引き剥がそうとすると、頭を振って拒絶する。
「や、です……!離しちゃ、やですっ……!好き、なんですっ、まひろさぁん……!」
「……っ、お前は!知らないからな!」
 このままではいけないことは頭では解っていたが、情動のほうが勝った。
 腰を打ちつけながら、強くニャル子を抱きしめる。
「ぅあ……は、ニャル子……!」
「まひろさんっ、まひろさん、や、あ、ああぁっ!」
 今までで一番強い締め付けに耐えきれず、精液を吐き出した。
 断続的に続く吐精に細い体がびくびくと跳ねる。
 腕の中の肢体が力が抜けて、真尋にかかる重みが増した。
「ふあぁ……真尋さんの、あったかい……」
 耳元で恍惚とした少女の声がする。
 余韻に浸りながら、何となしにニャル子の頭を撫でる。
 結局無理をさせてしまったが、ニャル子も満足そうにしているしまあいいか。

951 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/06/19(火) 22:46:48.81 ID:TuqjWIY0 [4/5]
 そんなことを考えている内に頭に上った熱が引いて、正しく現状を理解できた。

 とどのつまりは賢者タイムなう。

(…………良くはないだろッ!!)

 腕の中におとなしく収まっているニャル子はまあいい。いいのか?いいか。
 問題は中に出してしまったことである。
 つい流されてしまったが、この年で父親とか冗談ではない。冗談ではないが。
 ちらりと腕の中のニャル子を見てみる。
 呆けたまま頭を撫でられて、心地よさげに瞳を細めている。
 この少女が悲しむのは、もっと嫌かもしれない。
 やってしまったことはどうしようもないし、なるようにしかならない。
 短時間ですっかり絆されたものだ。
(結局全部ニャル子の思い通りだ)
 そう思うと悔しいのに、けして嫌ではないから不思議だった。
「うふふふふふふ」
 いつの間にか復活したニャル子が堪えきれない笑い声を上げた。
「な、何だよ。気持ち悪い笑い方すんな」
「うえっへへへへ」
「……なんで気持ち悪さが増すんだよ」
「だって、真尋さんが、真尋さんが……えへへへ」
 しまりなく笑いながらすりすりと擦り寄ったかと思うと、正面から真尋の顔をのぞき込む。
 視線に耐えられずに顔を逸らすと、また嬉しそうに擦り寄ってきた。
 自分の頬が紅いのは自覚している。
「真尋さんが、真尋さんも私のこと……いや分かってましたけどね、やっぱり嬉しいですね。
 これで私たち、晴れて恋人ということに。地道にイベント起こしまくったかいがありましたね。
 真尋さん、フラグ立てたそばからへし折るから一時はどうなるかと……。
 私の心もへし折れかけましたよ。まあ折れませんでしたけどね。その結果のこのエンディングですけどね。
 あ、そうだ。中出ししちゃったことは気にしなくても大丈夫ですよ。宇宙オギノ式だと今日は安全日です。
 そりゃ、赤ちゃんは、欲しいですけど……、新婚生活も、満喫したいですもんね。ちゃんと、考えて、ますよ……っ。
 明日からっ……楽しみ、ですね……恋人同士でできること、ぜんぶ、やりますよ……」
 よくもまあ舌の回ることだ。
 いつも以上に饒舌なニャル子に、真尋は半ば呆れて、半ば感心した。
「……あのな、ニャル子」
「っな、なんですか……」
「泣くか喋るかどっちかにしてくれ」
 悪い意味で泣いてるのではないにしても、対応に困る。
 真尋が顔を反らしてるからバレないとでも思ったのだろうか。
 声は震えているし、時折鼻を啜るし、ニャル子が顔を埋めているパジャマの肩口が濡れているというのに。
 今気付いたが、ニャル子がパニックになっている方が自分は冷静になれる性質らしい。
 そういえばさっきもちゃんと言わなかったな、と思い至って何気なく呟いてみる。
「……好きだよ」
 そのたった一言に、ニャル子が小さく頷いた。

*****

 どうにかニャル子を落ち着けて、後始末を終えたらベッドの上に枕がひとつ増えていた。
「え、ここで寝る気かお前」
「え、ダメですか?」
 本人(邪神)もしっかりとベッドに上がっているあたり、出て行く気はさらさら無さそうだ。
「ダメというか……」
 ただ真尋がいたたまれない。
 平常心が戻ってみれば、妙にニャル子を意識してしまって落ち着かない。
 気持ちを自覚したのさえついさっきの話で、どう接していいか解らないのだ。
 先ほどからわざとニャル子と目を合わせないようにさえしている。
「……ダメですか?」
 とはいえ、寂しそうな声を出すニャル子を無下にできるわけもない。

952 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/06/19(火) 22:50:32.84 ID:TuqjWIY0 [5/5]
「……今日だけだからな」
「ぃやったあ!」
 夜中にも関わらずガッツポーズ付きで歓声を上げる。
 先ほどのしおらしさは何処へ行ったのか、いつものニャル子だ。
 ガチ泣きされるよりかは何倍もマシだが、部屋の主より先にベッドに横になるのはどうだろう。
 しかも勝手に2つの枕を隙間なく近づけている。
 ため息を吐きながら視線を落としたところで、ふと手首が赤くなっていることに気付いた。
 短時間とはいえ拘束されていたのだから当然だ。
 これくらいならすぐ赤みは引くだろうが、万が一人に見られれば大事だ。
 そもそも今回だって結果論がよかっただけで、今後馬鹿な真似はご遠慮願いたい。
「まったく、何も人を縛ること……」
「自分の着けているタイで縛るのが定番でしたよ、AVでは」
 また出た。今回の諸悪の根源が。
 見方によってはニャル子がAVに感化されたおかげでこうなったともいえるが、それはそれ、これはこれである。
「……お前そのAV全部処分しろよ」
「そんな!渡星以前からの戦友ですのに!」
「戦死してもらえそんな戦友」
「まあ仕方ないですかね。あまりアテにならないですし。……真尋さんを虜にするはずが、これではミイラ取りがミイデラゴミムシ」
「何か言ったか?」
「いえ、何も。……そうです、これからは真尋さん手ずから私を真尋さん色に染めてくださるんですものね!」
「はあっ!?」
「そうなればあんな冒涜的なビデオなんていりませんね!正直予備知識なしに臨むのは些か不安ですが、
 私は真尋さんを信じていますから!どんなプレイも受け入れましょうそうしましょう!」
「……」
 こんなのに攻略、もとい籠絡されただなんてつくづくどうかしてしてしまったとしか思えない。
 正体は邪神なのに。やってることは極悪なのに。好きになるつもりなんて、なかったのに。
 まさか抱いたから絆されただなんて理由で人を好きになりたくはない。
 しかし、いつから好きだったのかと考えても答えは出ない。
「細かいことはいいんですよ。私たちが相思相愛である事実のみが重要です」
「だから人の心を読むなと……てか、そういうのよく恥ずかしくもなく……あー、もういいっ」
 あらためて2人の関係を明言されて頬を紅潮させる。
 気恥ずかしいものは仕方ない。
 今気付いたが、真尋はいつものニャル子は結局苦手らしい。
 誤解のないように言っておくが、嫌いなわけではない。扱いに困るだけだ。ものすごく。
「それより、お前明日変なこと言いふらすなよ」
「失礼な、変なことなんて言いませんよ。ちょっとドラマチックに仕立て上げて話すだけです」
「少しでも他人に話したら蹴り殺す」
「あれ?ツンがひどい……。デレは?デレはどこ行ったんです?」
 ここできつく言っておかないと、どんな根も葉もないことを言いふらすか知れたものではない。
 恋人になりました、と報告程度で済めばいいが、まさかエッチも済ませましたとか言いふらされては困る。
 そもそも開けっ広げにする話でもないだろう。
 一番の問題である身内には、恋人宣言をすることさえ危ない。
 クー子辺りが嫉妬に怒り狂うのは目に見えている。
「大丈夫ですよ、真尋さん」
「何が」
 当事者のくせにずいぶんとのん気なことを言ってくれる。
 思わず振り向いてしまい、いつも通りにまっすぐなニャル子とまともに目を合わせてしまった。
「何があろうとも、真尋さんは私が絶対お守りします!」
 相も変わらないことを満面の笑みで言い切るニャル子に、真尋は今度こそ何も言えなくなった。

終わり


迷走して変に長くなったけど読んでくれた人ありがとう。
エプロンネタの続きも書きたい。

  • 最終更新:2014-08-16 10:11:50

このWIKIを編集するにはパスワード入力が必要です

認証パスワード