三連休【長編】

30 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/06/25(月) 23:47:44.20 ID:cFAtCcaN [1/25]
「ニャル子、話がある」
「ふえ?どうしたんですか真尋さん」

いつも通りの八坂家のリビングでえらく深刻な顔をした真尋がニャル子を呼んだ。
ソファーに座って雑誌を読んでいたニャル子は真尋へと顔を向ける。

「はっ!もしかして愛の告白ですか!コツコツフラグを積み上げてきた結果がようやく花開いてデレ期到来ですねわかります!」
「違うから落ち着いて座れ」

心得たとばかりにはしゃぐニャル子にフォークをちらつかせて黙らせると沈んだ様子で真尋が口を開いた。

「今日から祝日含んだ三連休だ」
「そうですね。うれしはずかし学生の特権有給も無しに三連休!し、か、も」
「・・・お前らの上司とやらの呼び出しでクー子はこの三日間不在だ」
「いやぁ、私も久しぶりに枕を高くして寝れるってもんですよ!」

ガッツポーズ、字幕でコロンビアと表示されそうなくらい綺麗なガッツポーズだ。
そんなニャル子に対してどこまでも暗く、まるでどこぞの司令官のようなポーズで固まった真尋がため息を共に言葉を続けた。

「そしてポストに結婚式への招待状が入っていた」
「結婚式への招待状ですか?真尋さん宛てに?」
「ハス太宛てだ」
「ん?ハス太君宛ての招待状が何か?」
「元職場仲間かららしいが実家に送られた手紙が今日ようやくこっちに転送されたらしい。
 地球時間で明後日だから今日から三日留守にするってさ」

ニャル子の目が十字に光り真尋を射抜くと本当に撃ち抜かれたように真尋はがっくりとうなだれた。
瞬間的に、心が重なっても対応は180度違う二人らしい。

「トドメはこのメールだよ・・・」
「なんですなんです?私もう次々と立ち上がるフラグに興奮を隠すつもりもありませんよ!」

ニャル子は抱きつくようにして真尋の隣によると真尋の手をがっしりと掴んで携帯の画面を覗き込む。
反射行動の様に慌てて手を振り解くと真尋は顔を赤く染めながらそっぽを向いた。

「おお・・・おおおおお・・・・・・」
「母さんも例の教授に呼び出されて1週間のお手伝いだと」
「我が世の春がキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!」

こうして丸々三日間、真尋とニャル子は二人きりで過ごすことになり
すでにはしゃぎ回るニャル子をどう止めたものかと真尋は頭を抱えるのだった。
                      つづく                                     といいな

─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ 
キタ━━!
55 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/06/27(水) 18:00:16.99 ID:Xj1LX25e
それじゃあ>>30の続き投下します
砂糖を吐けるような文章が書きたい

56 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/06/27(水) 18:03:01.22 ID:Xj1LX25e [2/25]
八坂真尋は考えていた。
どうすればこの三日間を乗り越えられるか。
押してだめなら蹴り破れってくらい押しが強いニャル子を止める方法は
今現在、嫌がる事とフォークを突き刺す事の2択しかない。
実際嫌がったところでさらにエスカレートするだけだし、フォークを突き刺すのも最終手段だ。
下手に反応を返すと調子に乗るからと無視し続ければ、まるで水をかけられたパン型ヒーローの様に目に見えて凹むのだ。
知り合ったばかりの頃ならまだしも、ある程度長い付き合いとなってしまった今では少しばかり心が痛い。
やはりここはいつも通りに出来る限りは抵抗して、それでもダメならフォークでいこう。

ニャル子は考えていた。
この千載一遇のチャンスをどのようにしてモノにするか。
いつものように押せ押せで迫って強引にフラグを立てるのは?
いや二人きりという特殊な状況下でいつも通りのことをしても好感度は上がってもフラグは立ちません。
ならばいつもと違った趣向を駆使してみてはどうでしょう。
例えば真尋さんはバレていないと思っているにゃんにゃんな本とか以前地球で買ったウ=ス異本とかを参考にしてみたり。
そうと決まれば早速40秒で仕度して決行あるのみなのです!

「あのさ、ニャル「真尋さん!私ちょっと着替えてきます!」子・・・?」

真尋が声をかけたとほぼ同時にニャル子は何かを思い立ったかのように立ち上がるとそのまま自室へと走り去っていった。
その様子を見て、真尋の胸に去来する思いは「嫌な予感しかしねえ」であったわけだが。
ドタドタとした足音が消えて数分もしないうちに今度はトタトタと静かな足音が聞こえてきた。

「さっ、真尋さんも何時までも制服ではなく着替えちゃってください。今日のお夕飯は私が作りますよ!」

特にコレといった異質さは欠片も無い、いつもの普段着の上からフリルのついたピンクのエプロンをつけただけのニャル子だ。
一体何が来るんだとばかりに身構えていた真尋は肩透かしを食らったかのように呆然とニャル子を見返した。

「やん、そんなに見つめられたら照れちゃいますよ、真尋さん」
「あ、ああ、いや、ごめん」

なんで謝っているんだ僕は!そんな事を思いつつもどこか普段とは違うニャル子に戸惑いを隠せない。
まさかこれが恋?などと思ったりしてしまう真尋さんなのであった」
「人の心の中を捏造するな!ったく・・・夕食作ってくれるっていうなら止めないけどな、くれぐれも――」
「わかってますよ、真尋さん。ちゃんとこの冷蔵庫の中に入ってるスーパーで買って来た地球産の食材しか使いませんから!」
「・・・わかってるならいい」

ため息を吐くと自室へ向かい真尋は一人ごちた。
何を考えているのかはわからないが何かを企んでいる事だけは確かだ。
クー子もハス太も母さんさえもいない状況であのニャル子が何もして来ない事があろうか。いやない。
真尋は自分を(性的な意味で)守れるのは自分だけなのだと気合を入れなおし、着替えてから居間へと戻っていった。

「真尋さん、今日はちょっと冷えますので暖かいものお作りしますね。何か食べたいものとかありますか?」
「ん、特にはない・・・かな」
「はぁい。それじゃパパッと作ってしまいますので少しの間だけ待っててくださいね。真尋さん」

機嫌よく鼻歌を歌いながら料理を仕上げていくニャル子に釈然としない何かを抱えつつも
何をどうする事もなく時間を潰し始めた。
それはそうと鼻歌が暗黒卿のテーマなのはどうなんだろう。

57 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/06/27(水) 18:04:49.76 ID:Xj1LX25e [3/25]
「じゃじゃ~ん!ニャル子特製ビーフシチューです!真尋さん!美味しいですか?」
「うん、普通に・・・美味い」
「そう言って頂けると作ったかいがあったというものですよ。真尋さん」

そういってはにかむニャル子に見惚れてしまった真尋にニャル子はさらに畳み掛けてきた。

「ね、真尋さん」
「・・・ん」
「大好きです」
「ん。・・・・・・・・・・・・なぁ!?」

不意打ちだった。
出会い頭にPT全員の首を刈り取られて全滅する程の衝撃だった。

「おっ、お前っ、何を?!」
「以前にも最終回でも言いましたでしょう?真尋さんが大好きですと何度でも言いますって」
「またメタい事をお前・・・」
「私、こうして真尋さんと一緒にいられるのが本当に幸せなんです」

そう言って静かに目を閉じたニャル子はいつもと違って、どこか儚くて、
触れたら壊れてしまうんじゃないだろうか、と思わせる何かを持っていた。

「ですから、このお休みは丁度いい機会ですので真尋さんに感謝を伝えようと思いまして」
「・・・・・・・・・」
「出会ってくれてありがとうございます。・・・・・・その、あの」
「・・・・・・何だよ?」
「改めて言うのって結構恥ずかしいですね。・・・ふぅ」

胸に手を当てて一息つくと意を決したように顔を上げ、
ニャル子は真尋の顔をしっかりと見つめ、ほにゃりと微笑みながらこう言った。

「大好きです。愛しています、真尋さん」

限界だった。頭に血が上って、顔が真っ赤になって、何も考えられなくなっていた。
少し頬を染めながらまっすぐ見つめてくるニャル子の顔から思わず目を逸らしてしまう。
目を逸らしてから先の事を真尋はよく覚えていなかった。
気がついたらベッドで一人横になっていた。
少しだけ湿り気を残した髪や着替えも済ませている事から考えるに、
風呂にも入り髪を乾かして自室に戻ってきたのだろう。
だけどその過程が思い出せない。
熱に浮かされたようにおぼろげで、まるで夢でも見ていたかのような浮遊感がつきまとう。
時計を見れば確かに就寝時間で、早く寝なければと真尋は頭から布団を被るのだった。

58 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/06/27(水) 18:06:12.34 ID:Xj1LX25e [4/25]
そうして布団に入り目を閉じるも

『好きです。愛しています、真尋さん』

今までに無い方法で真尋の胸を打ち抜いたニャル子の言葉が延々と脳内に留まり続ける。
そうしてあの時、頬を染めてそれを告げたニャル子の顔を思い出すと
真尋の顔は火照りだし、涼しさすら感じるはずの夜の空気が酷く暑いものになる。

「こんな事で明日からの三連休はどうなるんだ・・・」

思わず呟いた自身の言葉で真尋は事の重大さを思い知った。

 ま だ 連 休 は 始 ま っ て す ら い な い の だ

つづく                                                      かもね

─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ 

179 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/07/10(火) 08:01:32.72 ID:x4giK+Vq
流れをぶった切って申し訳ないが>>58の続きなのですよ
うちのニャル子は乙女なので原作のふいんき味わいたい人は斜め読みか読み飛ばし推奨ですよ

180 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/07/10(火) 08:02:13.80 ID:x4giK+Vq [5/25]
その日、何か柔らかいものに抱きしめられる感覚で真尋は目を覚ました。

「ん・・・朝・・・?」

昨日はあの悶々としたまま寝てしまったらしい。
まさかあそこまで脳内をニャル子色に染められるとはあまりに不覚だった。
とりあえず起きようとするが両腕ごと何かにしっかりと抱きしめられているので身動きが取れない。
瞬時に状況を理解すると真尋は犯人へと声をかけた。

「おい、ニャル子!お前何やって・・・」
「ふにゅぅ・・・すぴー・・・」
「おい・・・」

真尋を抱きしめたまま幸せそうな顔で眠るニャル子に毒気を抜かれて、真尋は一人嘆息した。
昨日の事もあるし、こんな幸せそうな顔した奴を朝早くから怒鳴る事もないか、と。
そうしてまじまじと幸せそうな顔をして寝こけているニャル子を見つめてみる。
起こしてしまわないように気をつけて腕を抜くと寝ているニャル子の頬をつついてみる。

「んにゅ・・・うー・・・」

指から逃げるように少しだけ身じろぎすると顔を擦り付けるようにして真尋を抱きしめ直す。
やがてまた収まりが良い所に落ち着いたのか、ニャル子は穏やかな寝息を立て始めた。
可愛いな・・・と思ったその瞬間、真尋の脳裏に昨日のニャル子が映像付でフラッシュバックする。

『愛しています、真尋さん』

吸い寄せられるようにニャル子を抱きかかえようとしてそこではじめて我に返り頭を振る。
今、自分は何をしようとした?いくらなんでも簡単に絆されすぎだと自分を戒める。
相手は邪神なんだ。あのニャル子なんだ。きっとこれさえも策略なんだと自分に言い聞かせる。
大丈夫、僕は冷静だ。落ち着くんだ。この手触りのいい髪を撫でて落ち着くんだ。
本当に綺麗な銀髪だよな、ニャル子の髪って・・・・・・・・・

「全然落ち着いてねぇーーーーーーーーーーーーっ!」

いつの間にかニャル子のさらさらとした髪を撫でていた真尋が叫ぶ。
なんだ、一体何がどうなってこんな事になっているんだ。
確かにニャル子の事は憎からず思っていたがこんな事を許容するほどだった覚えは無い。
いや待てすでに思考のスタート地点がおかしい。

181 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/07/10(火) 08:03:19.19 ID:x4giK+Vq [6/25]
「もう撫でてくれないんですか?真尋さん」
「あ、ごめん」
「えっ」
「えっ?」

猫撫で声で甘えてきたニャル子に真尋が自然に声を返したことでお互いに声を上げる。
お互いの視線が交差してしばらくすると真尋の顔が真っ赤に染まった。

「いやっ!違う!なんでもない!というか、お前何時の間に僕のベッドに!」
「へ?あ、ああ!すみません!朝ごはん出来ましたので起こしにきたらあまりに美味しそ、
 もとい気持ち良さそうに寝てらしたのでこう、ふらふら~っと、つい。英語で言ったらヴァーサス」
「つい、で人のベッドに勝手に侵入してくるな!後、その英語は意味さえ違ってるだろ!!」

切欠こそ不自然ではあったものの、そこには「いつも通りの二人」がいた。
ベッドの上でどたばたした結果、二人はベッドから転げ落ち真尋がニャル子を組み敷いた状態で停止する。

「やん、真尋さん。朝から大胆ですね。・・・優しくしてくださいね(ポッ」
「・・・・・・・・・」
「真尋さん?」
「・・・っ!?ばっ!馬鹿言うな!ほら、朝ごはん出来てるんだろ!早く行くぞ」

少しの間放心したようにニャル子を見つめていた真尋は、我に帰るとニャル子を置いて居間へと降りていった。
置いていかれたニャル子は身体を起こすと少し不思議そうに顔をかしげてから、真尋の枕に手を伸ばした。

ギュッ クンカクンカ フンスフンス スーッ ハーッ
「人の枕で何してんだお前はっ!」
「えぐざむっ!!」

戻ってきた真尋がドアを開けたその瞬間に、枕を抱きしめていたニャル子の額へと
発動反転から当たり判定発生までが0Fの伝家の宝刀「銀のフォーク」が突き刺さった。

182 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/07/10(火) 08:04:34.39 ID:x4giK+Vq [7/25]
「ひどいじゃないですかー。痕が残ったらどうするんですか」
「お前が変なことしてるのが悪い!」
「あ!痕残したらそれこそ責任とってお嫁に貰ってくれたのかも!っかぁぁぁあああ~~!何故消した私!」
「その気になったら顔から体格まで自由自在な種族の癖に何言ってんだ・・・」

騒がしいけれどどこか落ち着く日常。
昨日の事もきっとニャル子の気まぐれか何かだったのだろうと見当をつける。
後は性質の悪い冗談か何かだったと忘れてしまうのが一番だ。
少しだけ濃い目に入れた紅茶がぼんやりとした思考をスッキリさせてくれる。

「ねぇねぇ、真尋さん」
「どうしたんだ?ニャル子」
「昨日話した事、覚えてます?」
「え・・・・・・」

約束など覚えていなかった。
そもそも、あの告白の後に何が起こったのかも覚えていないのだ。

「あ・・・ごめん。覚えてないんだ」
「え?」
「というか、昨日の夕飯を食べてる途中から記憶が曖昧でさ。か、風邪でも引いたのかな」
「そう・・・ですか」

しゅんとした表情で俯くニャル子を見て真尋の心に少しばかり申し訳なさが去来する。
とはいえ、まず間違いなく記憶が曖昧になった切欠にはこの邪神が関っているので妥協するつもりもないが。
ここは心を鬼にするしかあるまい。

「なあ、ニャル子。お前、昨日の夜何かしたか?」
「何かってなんです?」
「さっきは風邪かなって言ったけどさ、よく考えるとおかしいんだよ。
 いきなり意識が朦朧として気がついたらベッドで寝てたとかどう考えてもおかしいだろ?」
「・・・・・・」
「何か思い当たる事ないか?」
「・・・・・・」

俯いたまま何も語らないニャル子を見て真尋はニャル子は何かを知っていると確信する。

183 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/07/10(火) 08:05:31.27 ID:x4giK+Vq [8/25]
「おい、ニャル子」
「心当たりは、あります」
「そうか、なら早くなんとかしてくれ」
「その前に、一つだけお聞きしてもよろしいですか?」
「何が聞きたいんだ?」
「昨日の出来事をどこまで覚えていらっしゃいます?」

まただ。
まっすぐこちらを見つめてくる綺麗な瞳に吸い込まれそうな感覚を覚える。
昨日の夜もそうだ。この目を見た後―――

「愛して、いますって・・・」
「あはっ、一番覚えていて欲しかった事は覚えていてくださったんですね、真尋さん!」
「また・・・意識が・・・」
「おや?あ、いつの間にかスイッチ入ってました。切っておきますね」

カチリと何かがはまるような音がすると同時に靄がかかったようになっていた意識がクリアになる。
二、三度頭を振ると真尋はニャル子へと食って掛かった。

「おい、今のはどういう事なんだよ!」
「話せば長くなるのですが・・・」
「いいから話せ」
「宇宙TRPG用の小道具の一つで、照れを無くす機械です」

一行で終わる短さだった。

184 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/07/10(火) 08:06:59.08 ID:x4giK+Vq [9/25]
「TRPGにおける一番の敵は何かご存知ですか真尋さん」
「知るかそんなもん」
「つれないですねぇ。ま、お話を進めますと一番の敵はダイスのめがm、じゃなかったプレイヤーの照れです」
「・・・・・・・・・」
「照れてロールプレイを疎かにする事でゲームのテンポは悪くなり、同じ卓を囲んだ仲間にも悪影響を及ぼします。
 一度セッションが始まったなら照れをなりきりへと相転移させてしまわないと楽しめません。
 もちろんルールやマナーを遵守しなくてはいけませんけど」

だんだんと話が見えてきた。これはつまり―――

「僕が照れているからデレないんじゃないかと考えてそいつを使ったって事か」
「それは違いますよ真尋さん」
「何がどう違うんだよ。じゃあ普段アレだけ突っ走ってるのは実は照れ隠しでしたとでも言いたいのかお前は」

ニャル子はビシリという効果音が見えそうなほどに見事に固まった。
たっぷりと時間をかけて復活した後にばつの悪そうな顔をしてついついと人差し指を合わせながら喋りだした。

「・・・・って・・・・・・・・・ンも・・・・・・すよ」
「すまん、聴こえないからもっとちゃんと言ってくれ」
「・・・私だって好きな人を前にしたらそりゃ多少テンションもおかしくなろうってものですよ」

ということはこれが素なのか。普段は常に暴走状態なのか。
それなら普段からもう少し素を見せてくれ。
などと考えていた真尋は自身の身体にトサリ、と誰かが体重を預けてきた事に気づく。

「こちらにも原因があるせいで忘れてしまった約束ならまた約束すればいいんです。
 私も少し急ぎすぎた感はありますし、真尋さんはお気になさらないでください」

いつの間にか真尋の隣に座って真尋に身体を預けたニャル子は
目の前でゆらゆらと揺れるアホ毛にも元気が無く、どこか沈んだように見えた。

185 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/07/10(火) 08:08:12.25 ID:x4giK+Vq [10/25]
「・・・・・・なんて約束したんだ?」
「え?」
「僕は昨日、お前となんて約束したんだ?」

身体が熱い。
またあの感覚なのかと思うが、何かが違うと心が訴えかけていた。
真尋は今、確かに自分の感情で動いているんだと理由は無いまま確信していた。

「・・・真尋さんがどう思っていても構いません。今後もなるべくご迷惑にならないように気をつけます。
 それでも迷惑だと切り捨ててくれても構いません。本気で帰れと仰るのなら帰るのも吝かではありません。
 でも、それでも・・・・・・真尋さんをずっと好きでいても良いですか?」
「・・・・・・そんな泣きそうな顔で言われたらダメだなんて言えないだろ」
「あの、そんなつもりは・・・」

こちらを不安そうに見上げてくるニャル子を一度座り直させ、一度正面から瞳をあわせる。
翡翠のような瞳をしっかりと見つめて、真尋は自身の気持ちを切り出した。

「正直に言えば最初は迷惑だと思ってた。
 でも、ずっと一緒にいる内に情がわくって言うか、いなかったらいなかったで寂しく思うようになったって言うか
 いつもそこにいるのが普通だと思ってる自分がいたんだ。」
「・・・・・・・・・」
「そんな風に僕が思っていた事なんてお前知らなかっただろ?
 だから、お前が僕のことをどう思っていてもそれを僕から許可してもらう事なんてないんだ。
 それが素のお前だって言うならこれからはなるべくそのままでいてくれればいい。
 種族が違うから、って事を除けば僕がお前を嫌う理由なんかあんまり無かったんだよ」

熱に浮かされた?―――違う。
情に絆された?―――それも違う。
ただ、そうしてやりたかった。

「・・・?真尋さんむっ」

自分の身体で体験したキスは柔らかくて、暖かくて、ビーフシチューの香りがした。


のんびりとつづく                                              ように頑張る

─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ 

308 名無しさん@ピンキー sage 2012/07/25(水) 05:06:12.80 ID:bwiA4ewI
お待たせいたしました。三連休1日目終了まででございます
これ完結する頃には冬になってるんじゃなかろうか

309 名無しさん@ピンキー sage 2012/07/25(水) 05:07:28.71 ID:bwiA4ewI [11/25]

お互いの唇が触れ合ったままたっぷりと10秒。
どちらからともなく口を離すとお互いに顔を真っ赤にして見つめ合っていた。

「ま・・・真尋さん?」
「言っておくと気の迷いなんかじゃない・・・と思う」
「コピーロボット?ジェミニのサガ?」
「偽者でも二重人格でもねえよ!」

どうしてこう、真面目な空気が持たないんだろう。
真尋は深いため息をつきながら横に座ったニャル子を改めて見る。
意識しようとしてはいないがどうしても唇に意識がいってしまう。

「あのですね。凄く嬉しいんですけどそんなに見つめられると照れるといいますか・・・」
「ご、ごめん・・・」
「それにですね、出来ることならちゃんと歯を磨いた後にしていただけたらもっと良かったといいますか・・・」
「ごめん・・・」
「あ、別に攻めてるわけじゃないんですよ!でも、ほら、セカンドキスとは言ってももう少しムードが欲しかったじゃないですか」

思い返せば衝動に負けてやらかしたようなものだし何も言えなかった。
とはいえ後悔しているかと言えばそうではないが。ただし、反省はしようと思う。

「ですから、ちゃんと準備してから続きをしましょう!」
「・・・は?」
「そうと決まれば真尋さん!お片づけしてから歯磨きして今日は一日にゃんにゃんしてましょう!」
「いや、待て」
「それともあれですか?ちゅっちゅっする方がにゃんにゃんするより良かったですか?」

これはひどい。
真尋は思わず頭を抱えて唸ってしまった。
特に大事な事でもないがもう一度言おう。
これはひどい。―――――――でも

「そういうところがお前らしいんだよな」
「何か仰いました?真尋さん」
「ニャル子は可愛いなって言ったんだ」
「へっ?!」
「嘘だけど」

まさかニャル子とこんなやり取りをする事になるとは思ってもみなかった。
でも、なんとなくだけどこういうのも悪くないのかもしれない。
はにかんで食器を片付けながら真尋はそんな事を考えたのだった。


310 名無しさん@ピンキー sage 2012/07/25(水) 05:08:04.65 ID:bwiA4ewI [12/25]

洗い物も終わりやる事もないためいつも通りまったりと過ごしているうちに真尋はあることに気がついた。
ふとした瞬間にニャル子の姿を追ってしまい、その際にニャル子と目を合わせる事が多いのだ。
そうなると二人して赤くなってお互いに目を逸らして手元のゲームや本へと目を向けるのだが
しばらくするとどちらともなく目を向けてまた目が合って再び逸らして・・・無限ループって怖くね?

「ね、真尋さん」
「んー?」
「そっちのソファーに行ってもいいですか」
「ん、大丈夫だ」

真尋はそう言って少し横に動くとニャル子の座るスペースを作ってあげた。
ニャル子は真尋の横に座ると少しだけ真尋に体重を預ける。

「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」

ペラペラとページをめくる音とカチャカチャとボタンを押す音とアイテムを選ぶ音ととモンスターの咆哮と
キャラクターの悲鳴とアイテム合成の音と火球の飛んでいく音と武器を降る音が居間に響く。
ぶっちゃけて言うとちょっとうるさい。

「ニャル子、ちょっと音量下げてくれるか?」
「あ、これは失礼しました」
「それとちょっと座り辛いからちゃんと座ってくれ」
「これは幸せの重みって奴ですよぅ」

「んにぅ~」と猫のような奇妙な声を出して顔を擦り付けてくるニャル子をしょうがないなと、
そのまま放置して真尋は再び本へと目を向けた。
今度こそページをめくる音とボタンを押す音だけが居間に響く。

「真尋さん、ちょっと失礼しますね」
「んー?」
「よいしょっと。はふぅ・・・」

ニャル子はおもむろに横になると横に座っていた真尋の太股に頭を乗せた。
俗に言わなくても膝枕って奴だ。

「こういうのって普通逆じゃないか?」
「そう仰いますのなら後で喜んでやらせていただきますよ!」
「いや、そういう事言ってるんじゃなくて」
「嫌ですか・・・?」

いくら見た目が可愛くとも相手は邪神なんだ、騙されるな!という
一度突破された理論武装は濡れたティッシュよりも弱く真尋の心はニャル子に歩み寄っていっていた。
憎からず思っている女の子が真下から潤んだ目で見上げてくるシチュエーションに勝てる男っているのだろうか?
などという全く別ベクトルの理論武装を自身に施しながら。

「う・・・その・・・・・・嫌、じゃない」
「でしたら後でたっぷりじっくりねっとりとやって差し上げますよ!」
「~~~っ・・・・・・うん・・・・・・楽しみにしてる」

いつの間にかお互い手に持っていた物を置いて真尋はニャル子の髪を撫で、ニャル子は片手を真尋の身体へと回していた。
お互いの鼓動が聞こえそうなほどの静寂が心地良く、指の先からお互いの体温が混ざり合っていくような感覚に
二人は時間を忘れてただ埋没していった。


311 名無しさん@ピンキー sage 2012/07/25(水) 05:09:00.99 ID:bwiA4ewI [13/25]

その後、目が合うたびに若干甘い空気が流れて、そのまま流されそうにもなったがいざ、となると
お互いに気恥ずかしさから気後れしてしまってその度に夜に改めて、という流れになっていた。
そうしているうちに日は落ちて、お互い逃げ場にしていた夜が来てしまい、どこか気まずいまま
いざ就寝、という段になってもまだどう声をかけたものかお互いに計りかねていた。

(どうしよう、どうするんだ僕!こういうのって男から声をかけるものなのか?それとも声をかけられるのを待つものなのか?
 っていうかもしここで失敗した場合明日からどんな顔してニャル子に会えばいいんだ?
 いや、っていうか本当にスルのか?考え直した方がいいんじゃないか?―――)
「真尋さん」
「―――ふえっ?ひ、ひゃい!」

ひゃいってなんだひゃいって。心の中で自分にツッコミを入れられるくらいにはまだ落ち着いていたらしい。

「後でお伺いしますから・・・待っててくださいね?」
「え・・・?」
「それではまた後で」

そう言い残してスタスタとニャル子は寝室へ移動して行ってしまう。
拍子抜けしてしまうようなニャル子の対応に拍子抜けしてしまい、真尋も自分の部屋のベッドへ足を向けた。

ドキドキしている。
真尋は昨日の夜とはまた違った意味で身体が火照って来ていた。
酷く現実感が無い様に思えてくるが痛いほどに鼓動する心臓が現実だと教えてくれる。

―――――キィ

ドアの開く音がした。
一際大きくドクンと心臓が跳ねる音が聞こえた気がした。
普段は聞こえもしない足音すら聞こえてくるようだ。

「まっひろさん♪」

壁に向かって寝ている真尋に鈴が鳴るような声がかかる。
返事を返そうにも緊張しすぎているからか、首すら動かせない。
そうこうしているとするりと布団の中にニャル子が入ってきた。


312 名無しさん@ピンキー sage 2012/07/25(水) 05:09:53.44 ID:bwiA4ewI [14/25]

「まさか寝ちゃったんですか?それは流石に酷いですよぅ」

全然堪えていないような声色で抱きつくようにして自分のスペースを作っていく。
やけに慣れてるな、と思いながらもそれは結局言い出せずに真尋は答えを返した。

「寝てないよ。ただ、ちょっと・・・ね」
「緊張してます?」
「か、考え事してたんだ」

図星だった。
しかしそれを口に出すのは恥ずかしい気がしたので真尋は言葉を濁すことしか出来なかった。
と、そこでふと自分の背中に今当たっている妙な感触に気がついた。

(なんだろう?柔らかいんだけど何か尖ったものが・・・?)
「なあ、ニャルこっ・・・?!」

寝返りを打つように振り返った真尋が目を落とすとそこにはニャル子の裸体があった。

「真尋さん」
「ニ、ニャル・・・子?」

ニャル子は驚いた真尋の唇を塞ぎ、静かに真尋を抱き寄せると手際よく真尋のパジャマを脱がしていった。

「こういう時に色々言うのは野暮ってものですよ真尋さん。正直、私もう我慢できません」

それは男が言う台詞じゃないのかと思うも、真尋は今何を言ってもニャル子は止まらないと確信していた。
何よりも、もう真尋自身が我慢できそうに無かったのだ。

「ニャル子っ!」
「わひゃっ?!真尋さん?」

真尋はニャル子にのしかかると貪るようにニャル子の身体を求めていった。
なんだかんだ言って真尋だって年頃の高校生なのだ。


313 名無しさん@ピンキー sage 2012/07/25(水) 05:10:38.70 ID:bwiA4ewI [15/25]

「ニャル子ぉ、むぐっ、んはぁ、ニャル子っ!んじゅ」
「んむっ、はぁ、真尋さん、んちゅ、ふあ、真尋さ、んんっ」

互いに互いの名前を呼び合い、求め合うままにキスをする愛し合う二人。
ならばいいのだが実際は初の実戦にテンパってしまったチェリーボーイと
そんなテンパり方が予想外で同じくテンパってしまった女がお互いを呼び合い
突き動かされるままにキスをしているだけだ。
しかしそんな時間も長くは続かない。
こういう場合、大体は経験の有無に関らず女性の方が強いのだ。

「ニャルっ・・・子?」
「んむぅ・・・大丈夫です、大丈夫ですよ真尋さん。」

先に我に帰ったニャル子は赤ん坊をあやすようにトントンと真尋の頭を叩き、真尋を落ち着かせた。

「はじめてなんてこんなものです。慌てなくても大丈夫ですよ、真尋さん」
「あ・・・ニャル子・・・・・・ごめんむっ!?」
「・・・・・・・・・・・・ぷは。それは言っちゃダメですよ。それこそ興ざめですから」

めっ、なんて茶化して言うニャル子に毒気を抜かれて落ち着いた真尋は
今度はしっかりと気持ちを確かめ合うようなキスをした。

「ありがとな、ニャル子」
「いえいえ、お気になさらず♪」
「今度はちゃんとするから」
「真尋さん?」


314 名無しさん@ピンキー sage 2012/07/25(水) 05:12:27.09 ID:bwiA4ewI [16/25]

キスの余韻に浸ることなく真尋の顔が下へと降りてゆく。
そのまま真尋はニャル子の乳首を甘噛みし、空いた片方を乳房と共に捏ねるように揉んでゆく。

「ま、真尋さ、んあっ!ひいっ、そ、こぉ、気持ちい、ひい!」

左右が入れ替えるように顔を動かすと今度は逆の乳首を嬲り始める。
そうして空いた右手はニャル子のお尻の方へと伸びていった。

「んにゃあ!ダメ、っですよぉ、乳首といっしょは、らめぇ、んふぁ」

柔らかくもしっかりと上向きに締まったお尻を揉みながら、指先はそのさらに奥を目指してゆく。

「やぁん、そこっ、違う穴っ、です、ぁん」

ニャル子の背中に回されていたはずの左手はいつの間にか正面へと回され、うっすらと生え揃った茂みを掻き分けて
湿り気を帯びた割れ目を探し当てていた。

「きゃん、ま、真尋さんの手が、膣内に、ナカにぃひぃ、ひゃあん」

お尻を経由してきた右手も合流すると、今度はここだと言わんばかりに尖って主張しているクリトリスを
左手で摘み上げ、指の腹で押し潰す様に扱きあげた。

「だ、ダメダメダメダメッ!それっ、感じすぎちゃいまああああああああああああああああああああっ!!!!!」

ニャル子が腰を突き上げるようにして痙攣すると真尋の手に明らかに汗とは違う液体が溢れ出してきた。
真尋は確かこの後・・・と考えた所でせっかく風呂に入って汗を流したのが意味を無くすほどに汗をかいている事に気がつき、
布団をめくりあげて脇に寄せると荒い息をつくニャル子に改めて身体を寄せた。

「大丈夫か?ニャル子」
「・・・なんでこんなに手馴れてるんですか真尋さん」
「あー・・・その、予習はしてた、っていうのか・・・」
「ああ!隠し場所のお気に入りゾーンにあったあの本ですね!」

ちょっと待てなんでそんな事知ってる、と口から出かけたが、
そういえばこいつはそういう奴だった、と真尋は納得した。

「その話題は明日しっかりと話すとして、だ」
「はい?」
「その・・・」
「あ。・・・・・・はい、大丈夫ですよ」

言い辛そうにする真尋の頭をギュッと抱きしめた後、ニャル子はしっかりと真尋の目を見て言った。

「来てください。真尋さん」
「ん・・・うん」

おずおずと腰を進めていく真尋と先ほど曝した痴態が無かったかのように落ち着いたニャル子の影が重なり、

――― 一つになった。


                                                二日目につづく

─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ 

662 :三連休の人:2012/12/06(木) 12:34:34.24 ID:HeBLHPpx
なんやかんや色々ありましたが二日目の昼まで書いたので投下します

663 :三連休の人:2012/12/06(木) 12:35:59.24 ID:HeBLHPpx [17/25]

暖かい―――

奇妙な包容感とでも言うのだろうか。
何か暖かくて柔らかいものに包まれている感覚に真尋は目を覚ました。

「んん……」

目をこすりながら起きようとするが何かに邪魔されて起き上がれない。
なんだろうと目を開けてみると

「すぴー」

幸せそうな顔で寝ているニャル子の顔のどアップが飛び込んできた。
そこで真尋は何故今このような状態になっているのかを理解した。
昨日の夜、今目の前で寝ているニャル子と最後まで致しちゃった後、そのまま抱き合って寝てしまったのだ。

(よく考えてみると凄いことしちゃったんだよなぁ)

4回。昨日の夜真尋がブッパした回数である。
ニャル子達が来てから自分で処理することも出来なかったけどもこれは流石にやりすぎだろうかと真尋は思ったが
ブッパされたニャル子は幸せそうな顔して眠っているしこちらも身体に異常は無いし大丈夫という事にした。
何はともあれ朝だし起きよう、そう思った真尋はゆっくりと身体を起こそうとして――

ぐちゅり

ニャル子と触れ合っていた所から確かにそんな音を聞き、同時に下半身に心地良い刺激が走った。

664 :三連休の人:2012/12/06(木) 12:37:22.30 ID:HeBLHPpx [18/25]

「んふぅ、あぁん」

同時にニャル子から甘い声が漏れる。
真尋はそこでようやく気がついた。挿入れっぱなしであった事に。
しかも出すだけ出してお互い身体も拭かずに倒れるように寝てしまったのだ。
そりゃもう身体中汗やらナニやらでドロドロの状態だった。

「シーツも布団もぐしゃぐしゃだ」

クリーニングに出せるわけも無いのでとりあえず急いで洗濯してしまわないといけないな、などと考えながら
真尋は一人ごちた。

「でも、とりあえず身体洗わないと。ニャル子、起きろって」
「んにゅ……」

寝ぼけ眼をこすりながらもぞもぞとニャル子が動き出す。
その度に甘い刺激が真尋の股間を襲い、流されるままに抱きついてしまいそうだったが、真尋はその誘惑になんとか耐えた。

「おひゃよごじゃいまふ、ひゃひほはぁん」
「おはよう、ニャル子」

大きなあくびをしつつ、目を覚ましたニャル子に思わず笑みがこぼれる。
むにむにと顔をこすり目を開けたニャル子は真尋を認識した瞬間、顔を紅潮させて布団に潜り込み悲鳴を上げた。

「ま、真尋さん?!やだっ、ちょっとなんでこんな理想の朝チュンにゃああああああああああああああ!?」

真尋がその気になっていなかったためそこまでの硬度はなかったがしっかりと突き刺さったままだったのに
ニャル子が慌てて布団に潜り込もうとした結果……推して知るべしである。

665 :三連休の人:2012/12/06(木) 12:37:59.87 ID:HeBLHPpx [19/25]

その後ニャル子を起こし、お互い身体を拭いた後に分担して布団を洗ったり風呂を沸かしていると

「ね、ね、真尋さん」
「どうした?ニャル子」
「折角ですし一緒に入りませんか?流しっこしましょう!」

それは色々と吹っ切れてきた真尋にとっては願っても無い申し出だった。
暖かなお湯、白い湯気、そして眼前に広がる異性の肌。
これで興奮しないことがあろうか、いや、ない!」
「だから勝手に人のモノローグを捏造するな!」
「おや?では真尋さんは興奮してないんですか?」
「う……」

興奮していないわけがない。考えてみてほしい。
ほんの数十分前まで全裸で一緒に寝ていて、さらにその数時間前には、はじめてお互いの想いも身体も繋がった相手と
タオルも巻かず、隔てるものはお湯のみという状況で興奮しないわけがあろうか?
しかも二人で向かい合うには少し手狭な浴槽なので体勢的には真尋の足の間にニャル子が収まっているという
いわゆる「これ絶対に挿入ってるよね」の体勢である。

「んふふ~~。硬くなってますよ、真尋さん」
「……当たり前だろ」
「照れてるんですか?そういう所も可愛いですよ」

真尋にお尻の谷間を擦りつけて刺激しておいて硬くなってますも何もないものだ。
そうして硬くなった真尋のものをニャル子は自分の中へと納めた。
「これ完全に挿入ってるよね」の完成である。

666 :三連休の人:2012/12/06(木) 12:38:51.48 ID:HeBLHPpx [20/25]

「お前、朝からこんな……」
「だって朝から愛し合いたいじゃないですか、真尋さん」
「言いながら締めるな……っ!」

それは冒涜的な快感だった。
昨日の夜も味わったというのになんら衰えぬ快感を与えてられて真尋の股間の真尋さんはあっという間に最硬度まで到達した。

「あはっ、すごいですっ。動くたびにコツコツって奥っ、叩いてっ」
「……もう止まらないからなっ!」

チャプチャプという音からパシャパシャへ音が変わり、そこからさらにバシャバシャへと変わっていく。
けれども狭い浴槽の中で座ったままでは満足に動けずお互いにもどかしい思いばかりが募ってゆく。
お互いの思いを感じてそれを埋めるように肩越しにキスをする。
ニャル子の髪を巻き込み、お互いの歯が当たっても舌を絡める事を止めない激しいキス。
そのまま覆いかぶさるように体を重ねる真尋に合わせてニャル子は身体を動かすと
浴槽に手をつくようにして腰を浮かして後背位で挿入したまま膝を立てた。

「ぷぁっ、しぼり芙蓉からっ、んうっ、鵯越えっとはまた、はぁっ、マニアックっです、ねぅっ」
「そんな名前なのかこの格好」

お湯から出たことで真尋とニャル子が繋がっている部分からぱちゅぱちゅといやらしい音が室内へと響く。
はねる水音と相まって室内に響く音が二人をさらにいやらしく変えてゆく。

「くっ、ふっ……。出る、出るぞニャル子!」
「出してっ、出してくださぁい!ま、ひろっ、さぁあああああああああああああっ!!」

667 :三連休の人:2012/12/06(木) 12:39:53.55 ID:HeBLHPpx [21/25]

二人が同時に達し、騒がしかった浴室内にはお湯の音と二人の荒い息の音だけが響いている。
腰を引いて座り込んだ真尋の眼前にはバスタブにもたれかかるようにして休んでいるニャル子のヒップが映っていた。
形も張りも良くつつけば程よい弾力を返してきそうな桃という例えが正しくしっくりくるそのお尻を眺めていると
ある一点へと真尋の視線が集まっていった。
自分にはそんな趣味もあったのかと思いながらも真尋は自分の股間がまた元気を取り戻してきている事に気がつき
同時にほんの少し芽生えた悪戯心を否定することなく手を動かして真尋はニャル子のそこへ手を伸ばした。

「ひゃうっ!?ま、ままままままま真尋しゃん!?そっちですか!?そっちいっちゃうんですか!?」
「いや、綺麗だなーってじっと見てたらなんか触ってみたくなってきて」
「あのですね、褒められるのは悪い気はしませんし愛しの真尋さんの頼みですし出来る限りの事は聞いてあげたいのですが
 準備もなしにそこは『ツプゥッ』アッーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」

それからたっぷり二時間後、二人が浴室から出てきた時には少しやつれてはいるが満足げな顔をした真尋と

「まさか真尋さんに後ろの趣味があったなんて……いやでも考えようによっては初めてを真尋さんに捧げる事が出来たとも……
 なら元に戻すのは止めた方がいいですかね?いやでもこのままだと有事の際に嬉し恥ずかしなことに……やん、垂れてきた」

ブツブツと何事か呟き後ろを気にしつつもどこか幸せそうなニャル子の姿があった。

「さて、だいぶ遅くなっちゃったけど食事にするか」
「あ、じゃあ私が準備しますね」

そう言ってエプロンをつけて台所へと向かうニャル子の後姿を見て真尋は少し頭を抱えたくなった。

「なんで裸エプロンなんだお前ぇーーーっ!」
「でもこういうのもお好きでしょう?」

こうして三連休二日目の昼もいつもよりちょっとだけ大人向けな空気で過ぎていったのである。

─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ 

728 名前: 三連休の人 [sage] 投稿日: 2013/02/24(日) 05:12:11.33 ID:KqOz2J7e
色々と一段落したので久々に投下します
何とか年(度)内に終わったよ!

729 名前: 三連休の人 [sage] 投稿日: 2013/02/24(日) 05:13:35.24 ID:KqOz2J7e [22/25]

二日目昼の食事も終わり、まったりと過ごし出した真尋とニャル子。
ただ、その姿は数日前では考えられないようなものであった。
真尋はニャル子を拒絶せず、抱きついてくれば優しく抱きとめる。
もたれかかってくれば負担にならない様に支える。
そしてニャル子もまた、時として甘えてくる真尋を抱きしめ、微笑んだ。
極めつけなのは、二人の視線が交わる度にキスをしている事だ。
相手の視線に気がつき顔を上げればキス。
膝枕から覆い被さるようにキス。
用事で席を立った後、後ろから抱きつき首を回してキス。
アニメ的な表現で言えば空気がピンク色に染まり、家からハートマークが溢れ出している。
イチャイチャ過ごす二人はいつしかソファに横になると
真尋はニャル子の柔らかな双丘を揉みしだき、ニャル子は真尋の剛直をいじり出した。
柔らかく手にフィットしてくる様に形を変え、その頂点で主張を始めた乳首を指先で転がす。
吐息に艶やかな色が混ざり始めたらキスをして舌を絡めて更に高みへと導いていく。
抱き寄せる様に回した右腕はそのまま、左腕を胸から徐々に下へと降ろしてゆく。
鳩尾を撫で、ヘソを弄り、下腹部を指先で刺激し、そのすぐ下の茂みの中で止まる。
そこで直接刺激せず、サワサワと感触を確かめる様に茂みを掻き分ける。
自身の分身を弄る手に時折ピクリと反応が有るので、すでに何度かイきかけているのだろう。
茂みを通り過ぎクレバスに手をかけるが、まだ中は触ってあげない。
嬲る様にクレバスの上を通り過ぎると、とろとろと溢れ出す愛液をすくってニャル子の目の前に持っていく。

「すごいな、もうこんなになってる」
「真尋さぁん……殺生ですよぉ……。早く、早くぅ」
「昨日教えてもらったばかりじゃないか。相手がおねだりを始めてから本番だって」

昨晩のぶっ放し×4の中でニャル子から手解きを受けた真尋はニャル子のプチSっぽい責めを十全に身につけていた。
教えた本人に全部返って来ているのは因果応報とでも言うのだろうか。
その後、たっぷりと焦らされ我慢出来なくなったニャル子が真尋を押し倒す頃には
ソファのクッションがしっとりと変色する程に愛液が溢れ出していた。

730 名前: 三連休の人 [sage] 投稿日: 2013/02/24(日) 05:15:10.23 ID:KqOz2J7e [23/25]

「まっ、真尋さんが、こんなっに、S、だとは……思いませんでした……っ!」
「教えて、もらった事を、実行、しただけだろっ」
「んはぁっ、深っ、はひぃっ!」

最初こそ勢いに乗って攻めていたニャル子だったが、とことん焦らされ火照った身体は
昨晩からしっかりと自らが教え込んだ急所を突かれた瞬間に白旗を上げた。
受け入れる態勢を整え下がってきた子宮をノックし始めたのを感じ、単調にならないように突く角度を変える。
膣内を解す様に突きまわし、Gスポットをこすりあげる様に刺激する。
ニャル子の身体が反り返ったのをみてさらに角度を変える。
斜めになった身体に対して地面に垂直になる様な角度で突く。
ニャル子の下腹部が少し膨らみ、そこに自身が入っているのを目で確認出来る。
次は浅く腰を引くと細かく同じ場所を突く。
ニャル子の限界も自身の限界も近いのがよくわかった。
再び細かく角度を調整して準備を整えると、真尋は抜けないギリギリまで腰を引いた。
そこから思いきり腰を打ちつけ、しっかりと鈴口を子宮口に密着させると
もう何度目かになる子宮への射精を繰り出した。

「はぁっ、ハァ、ど、どうだった?ニャル子?」
「…………」
「ニャル子?おーいニャル子ー?」

挿入し、抱き合ったまま相手の名前を呼ぶが、反応が無い。
昨日なら本で得た知識だけではなくもっと相手に合わせた行為を、とか話していたのに。
というか、いくらなんでもこういう事の後に感想戦は無いだろと昨日の自分達にツッコミを入れる。
いや、それよりも今はニャル子だ。

「………った」

喋った。うん、生きてて良かった。
恋人が腹上死とか洒落にならない。

「はふぅ……えがったぁ~~」

台無しである。
昨日の夜空気を大事にとか言ったのはその口だろうに。
とはいえ、特に気にならないのは惚れた強みであり、弱みだろう。

「もうこのまま死んじゃっても悔いが無い位幸せですよ私」
「いきなり何言ってんだお前」
「だって後はお母様にご挨拶するだけじゃないですか。数日前とは雲泥の差ですよ」
「ばーか」

一体何を言い出すのだこのニャルラトホテプ星人様は。
少し腹が立ったのでデコピンをお見舞いしてやる。

「何するんですかぁ、真尋さん!」
「まだ挨拶もしてなけりゃその後の事も有るのに何が死んでも悔いが無いだ」
「あぅ……」

途端にニャル子は頬を染めて指を胸の前でついついと合わせる。
こいつ、こういうの意識してやってるのかそうじゃないのか…….。

「まさか、真尋さんがそこまで言ってくださるとは思いませんでした」
「僕も自分で驚いてる」

嘘だ。
もうここまで来たのなら最後まで責任を取らなきゃいけない。
覚悟は今決めた。

731 名前: 三連休の人 [sage] 投稿日: 2013/02/24(日) 05:17:12.60 ID:KqOz2J7e [24/25]

その後、三連休が終わるまでたっぷりと僕らは愛し合った。
まずは戻ってきたクー子とハス太へ事情を説明。
そのまま戦闘に突入する流れにはならなかった。
結局僕が煮え切らない態度を取らなければ丸く収まっていたとの事だった。
クー子は僕が死んだ後にニャル子の妻になると言い出し、
地球にいる間は良き隣人となってくれるそうだ。
時々僕らの寝室に忍び込んだり、寝取ろうとしてくるが概ね問題無い。
ハス太は傷心の所をルーヒーに出会い、傷を埋める様に仲良くなっていった。
母さんも合意の上で双方納得しているならしょうがないと理解してくれた。

その後も三連休で見事に大当たりしていて学生の内に双子の親になったり、
子供は邪神とのハーフという事でハンターの人達と色々あったりしたが割愛。
僕は今、ニャル子とニャ尋、真子の四人で幸せな生活を送っている。

「真尋さん」

ニャル子、愛してるよ。

「真尋さん!」

ニャル子?

「起きてくださいよ、真尋さん!」
「……少年、早く目覚めないとキスする。……ニャル子に」
「真尋君、起きて」

え……?

「ん……」
「何で私にキスしようとしてんですか!……って真尋さん!」
「……ニャル子のいけず。……少年、おはよう」
「良かったぁ、このまま目が覚めないかと思っちゃった」

あれ……?ここは……?

「久しぶりだなぁ。クー子、ハス太。やっぱり見た目変わらないんだな」
「……少年?」
「真尋君、寝ボケてる?」
「しっかり起きてるよ、失礼な。ニャル子、おはよう」
「あ、おはようございまんむっ?!」

いつもの様におはようのキス。
あれ?いつもなら舌を絡めてくるのに。
何処か初々しいニャル子は新鮮だった。

「少年?!」
「真尋君?!」
「ま、ままままま、まひろしゃん?」
「どうしたんだよ。いつもの事だろ?あれ、ニャ尋と真子は?」

あれ?何だろう。
自分の身体が自分の物ではないような。
というか、昔に巻き戻った様なこの感じ。
例えるならそう、アニメ一期が終わった後辺りの………ハッ!

「い、今の無しで!思い出した!ハッキリ思い出した!」

732 名前: 三連休の人 [sage] 投稿日: 2013/02/24(日) 05:18:01.44 ID:KqOz2J7e [25/25]

クトゥルフの呼び声宇宙TRPGソロプレイヤー用システム。
何やらそんなあやしげな物のモニターを頼まれたのが事の発端だった。
凡そ人間と同じフレキシブルな対応でキーパリングしてくれるシステムを搭載し、
作ったキャラクターに精神を投影し、加速空間でシナリオを進める事でより物語に入り込み、より短時間でセッションを行えるものだそうだ。
試しにとシナリオをくじ引きで引いた後ニャル子から順にプレイしたのだ。
ハードありきのゲーム専門のクー子とTRPG未経験のハス太はサンプルシナリオから選び、
僕はオンラインセッションから適当な物を選んだ。
そしてガチガチの探索者であったニャル子が持って来たシナリオは「愛の巣」。
どうしてこの段階で逃げなかったのかとあの時の自分を殴りたい。

「少年、いくら少年でも許せる事と許せない事がある」
「ヒドイよ真尋君……見せつけるみたいに」
「で?ニャ尋と真子って誰の事なんです?ねぇねぇ真尋さん!」
「セッ、セッションログ!セッションログを読んでくれっ!」

かくしてドタバタしたまま感想戦に突入したわけだが……

「うわっ、真尋さんオープニングで不定の狂気になってる」
「……この時点でSAN値が半壊」
「75もあったのに32まで減ってるね」
「そもそもオープニングでニャルラトホテプエンカウントがおかしいだろ」

「……この装置、何?」
「あ、これ気づくまで名前を呼ばれる度に0/-1、「好きです」の度に0/1d3、
「愛してる」の度に1/1d6でSAN値が減ります」
「鬼か」
「このゲームシステムでそれはヒドイよニャル子ちゃん」

「結局装置を止めた段階で残りSAN値が15って……」
「……SAN値直葬」
「最早クソゲーだぞこれ」
「えー?でも逃げ道はちゃんと有りましたよ」

「……ネチョい」
「出来れば今度は現実でしてくれると……なんちてなんちて!」
「真尋君こんな事まで……ぼ、僕ならいつでもいいからね!」
「これでもしっかりSAN値持っていってるんだよな……」

「ニャ尋君可愛い~!」
「……真子ちゃんなら養ってもいい」
「ね、ね、真尋さん!本当に子供欲しくないですか?」
「何で画像データまで残ってるんだ……」

結局、愛情と性欲という名の冒涜的恐怖によるSAN値直葬で幕を閉じた今回のセッションだったが
バッドエンドらしからぬ最後なのはどう転んでもプラスに働くだろうという打算によるものだったらしい。
ちなみに回避方法は三連休に二人きりになる事が確定した時点で家から脱出する事。
なんたるクソゲーだ。
後、地球人以外向けに調整されていた装置を使ったせいで僕はセッションに精神を引き摺られ、しばらく目を覚まさなかったとのこと。
頼まれなくとも二度とやるつもりは無いが。
残ったのは目覚めた後キスをしたニャル子の唇の柔らかさの記憶とその後しばらくからかわれ続けた事実だけ。
でも不意にニャル子を見ると唇の感触を思い出してしまうのはニャル子の企みの内だったりするんだろうか。

─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ 

733 名前: 三連休の人 [sage] 投稿日: 2013/02/24(日) 05:19:39.45 ID:KqOz2J7e
以上です
お目汚し失礼しました
アニメ二期も楽しみだね

  • 最終更新:2014-08-17 11:32:09

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