最近、ニャル子のようすがちょっとおかしいんだが。【1/2】

あけおめっすー。
ご挨拶代わりに年末仕上がった真尋×ニャル子を投下します。
ラブリィプリティイエイ
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194 :最近、ニャル子のようすがちょっとおかしいんだが。:2016/01/01(金) 08:07:05.50 ID:gsRRJEku

「まったく、どうしたっていうんだニャル子のやつ……」

真尋は自室のベッドへ仰向けに寝転がると、疲れ切った口調で呟いた。
ぼやく理由はただ一つ。ここ数日、ニャル子の求愛行動が度を越して激しくなっている為だ。
以前はまだ隙を窺う程度の分別はあったのが、最近では時も場合もまるでお構いなし。
フォークも構えた程度では効果がなく、二・三本直撃させてもまだ諦めずに迫ってきたりする。
自分でやって言うのも何だが、フォークが刺さった女に苦悶の表情で言い寄られるのは非常に怖い。
先程も恐怖の反動で思わず滅多刺しにしてしまったけれど、あの執拗さはどう考えても異常だ。

「そう、あれじゃまるで、何かに追い立てられてでもいるみたいな……」
「ようやくお気付きになられたようですね」

誰もいないはずの部屋で返ってきた聞き覚えのある声に、真尋は驚きもせずムクリと起き上がる。
視線を向けると、そこには蜘蛛の巣模様の和服をまとった、黒髪赤目の美女が佇んでいた。

「……お前の仕業だ」
「まあ、そこは普通『お前の仕業か?』と尋ねるところでは」
「お前の仕業、だ。御託はいいから、どういう事なのか説明しろ」

頬に手を添えて小首を傾げる淑やかな仕草を完全に無視し、真尋は仏頂面で問い質した。
どこからともなく出現したこの女性は、アトラク=ナクア星人の銀アト子。
他人の男を寝取るのが生き甲斐で、その為に真尋とニャル子をくっつけようと企む、厄介な変態だ。
このタイミングで現れて思わせぶりな台詞を吐くからには、今回の元凶は彼女に違いない。
真尋の確信を実証するかのように、問われたアト子はあっさりと口を割る。

「実は先日ニャル子から、真尋さんと恋仲になる為の手立てについて相談を受けたのですが。
 その時彼女へ施した、太古より伝わる強力な恋愛成就のおまじないが、全ての原因なのです」
「……おまじない、だって?」
「ええ、その名も『青爪邪神呪詛』といいまして。
 ナイトゴーントの羽を触媒に、指の爪を青く染める誓約の印を刻む、恋のおまじないです。
 これを掛けられた者は、意中の方と身も心も通じ合うまで、激甚な苦痛に襲われ続けるという……」


195 :最近、ニャル子のようすがちょっとおかしいんだが。:2016/01/01(金) 08:11:06.30 ID:gsRRJEku

「それのどこが恋のおまじないだっ!」

声を荒げて突っ込みつつ、真尋はニャル子にフォークの脅しが効かなくなった訳を理解した。
どうせ痛い思いをするのなら己の欲求を押し通すほうを選ぶ、というのはいかにも彼女らしい。

「だけど、何でまたそんな無駄にリスキーな呪いを……」
「勇気とは痛さを知ること、苦痛を我が物とすること、それが無ければノミと同類だとかで」
「意味分かんねえよ。っていうか、お前も友達にそんなもん掛けるか普通」
「わたくしも一応、そんな呪法で大丈夫かと訊いたのですが、ニャル子が『大丈夫だ、問題ない』と」
「いや信じるなよどう考えても問題おおありだろうがコラ」

あの這い寄る混沌は、なんでそう根拠の無い自信を堂々と持てるのだろう。
もっとも、改めて『一番いいもの』を持ってこられても、それはそれで大いに困るのだが。

「とにかく、そんな馬鹿な呪いはさっさと解除してやれよ。あいつもいい加減懲りただろうし」
「いえ、それが……」

投げやり気味にそう告げると、アト子は気まずげな表情を浮かべて目を逸らす。
その様子に激しく嫌な予感を覚え、今度は何を言い出すのかと内心で身構える。

「……あの呪いは一度掛けたら最後、術者のわたくしにも途中で解除することが出来ないのです。
 更に、誓約を満たせずにいると呪いは徐々に進行し、青かった爪が赤味を帯びていきます。
 そして爪が真紅に染まった時、呪印はそのものを分解し、無力なヒキガエルに変えてしまうのです」
「なっ……!?」

想像以上に過酷なペナルティを聞かされて、真尋は一瞬言葉を失った。
苦痛に悩まされる程度なら自業自得と放っておく事もできるが、さすがにそれは洒落では済まない。

「それはその、元に戻したりは……」
「存在情報自体を書き換えてしまいますから、いかなる手段を用いても復元する事は不可能です」
「不可能ってお前……。本当に他の方法はないのか?」
「あと一つ、意中の方の心臓を抉り出し、そのしたたる血を爪に吸わせる事でも解除はできます。
 どちらにせよ、想い人のハートを鷲掴みするのには違いありませんけれど」
「うまいこと言ってる場合かよっ! お前もニャル子もなに考えてんだ!」

状況をわきまえない物言いに、真尋は声を大にして訴えた。

196 :最近、ニャル子のようすがちょっとおかしいんだが。:2016/01/01(金) 08:15:11.47 ID:gsRRJEku
要は、ニャル子と深い仲にならなければ、彼女と自分のどちらかの身が犠牲になる、という事だ。
そんな究極の選択を突きつけられて、はいそうですかと受け入れられるはずがない。
噛みつきかねない形相で睨む真尋に対し、アト子は憂いを帯びた顔つきで訴える。

「誤解しないで頂きたいのですが、ニャル子には呪いを盾に関係を迫る意図など全くありません。
 彼女は今でも、フォークに怯まず迫り続ければどうにかなると、本気で思っているようなのです。
 真尋さんに助力を求めるよう説得しても、まだ慌てるような時間じゃないと言うばかりで。
 一度決めたら譲らない性格なのは知ってはいましたが、まさかああまで頑なだとは……」
「あ、っの馬鹿……」
「言い訳にもなりませんけれど、わたくしもこれほど深刻な事態になるとは思っていなかったのです。
 匂いの濃さから考えて、ほんの少しの後押しさえあれば、すぐに進展するだろうと……。
 けれどこのままでは、ニャル子の呪いは今夜中にも、最終段階まで達してしまうでしょう。
 大切な友人がそのような目に会う事だけは、なんとしても阻止したいのです。
 こんな事を言えた義理ではないのは重々承知しておりますが、それでも敢えてお願いします。
 どうか真尋さんの御慈悲をもって、彼女の呪いを解いてやってはいただけませんでしょうか?」
「慈悲ったってな……」

最後の望みを託すかのようなアト子の懇願に、真尋はなおも悩み続けた。
事情は嫌というほど良く分かったが、それを素直に実行できるようなら、誰も苦労はしていない。
様々な思考が渦を巻く中、自分でも往生際が悪いと思いつつ、重ねて念を押す。

「……嘘じゃないんだろうな? さすがに『全部冗談でした』なんて言ったら本気で刺すぞ?」
「説明不足や誤解を招く表現で罠にかける事はあっても、そんな芸のない嘘偽りなど申しません。
 呪いの効果も解除法も、蜘蛛の誇りに誓って本当の事です」
「堂々と言う事かよ……」

告げる瞳には一片の曇りすらなく、まるっきりの虚言を述べているようにはとても思えない。
話の展開に詰まった作家の如く頭を掻き毟りながら、真尋は深く懊悩する。
しかし、見捨てるのも心臓を抉られるのもお断りとなれば、残る選択肢はひとつしかない。
散々に迷い躊躇ったその末に、真尋は苦りきった表情で己の決断を口に出した。


197 :最近、ニャル子のようすがちょっとおかしいんだが。:2016/01/01(金) 08:18:24.36 ID:gsRRJEku

                   ●

「まっひろさーん! 夢見るつぼみは諦めません、倒れそうな時も信じる笑顔の花束にします!
 という訳で、ラブリィプリティイエイ可愛い私とハピネスをチャージしましょうよぉん!」

突然現れたアト子が、真尋の部屋より立ち去ってから数分後。
滅多刺しのダメージから回復したらしいニャル子は、ドアを開けると同時に元気良く迫ってきた。
その身に纏うのは、どこかフラメンコの衣装を思わせる、赤黒二色のフリル付きベビードール。
しかもノーブラな為、薄いレース越しに両の乳首までがくっきりと透けて見えている。
普段ならば、まずその痴女めいた格好に突っ込むところだが、真尋の関心は今そちらには無い。
媚びたポーズを取る彼女の右手人差し指の爪が、邪悪で禍々しい赤紫色に染まっている。
更に解った上で観察してみれば、その態度にもわずかながら、苦痛を堪えるぎこちなさが滲む。

「はあぁぁぁっ……」

アト子の言葉を裏付けるそれらを確認し、真尋は深々と溜息をつく。
すると、ニャル子は満面の笑みを一転させ、すがるような涙目で訴えてきた。

「真尋さあぁぁん! やめて下さいよそのスベった出落ち芸人に対するよーな反応はっ!
 それフォークで迎撃されるよりキツいですから! せめて何かコメントを!」
「いや、お前があまりにも平常運転すぎるからさ……」

真尋は頭痛をこらえるように指で額を押さえ、深い疲労感を込めた声で呟いた。
ある意味、死ぬよりも悪い結末が待ち構えているはずなのに、この能天気ぶりは一体何なのだろう。
改めて彼女の精神構造に疑問を抱いていると、ニャル子が訝しげな面持ちで顔を覗き込んでくる。

「あのー、どうかしましたか真尋さん? いつになく深刻なご様子のような」
「どうかしてるのはお前のほうだよ。……全部聞いたぞ、アト子から」
「えっ?」
「青爪なんとかって言う呪いなんだろ、それ。僕と結ばれないと解除不能、なんてふざけた内容の」
「あ、いや、もう、なんでバラしちゃいますかねアト子ちゃんは!?」

ニャル子は慌てて右手を背後に隠すと、気まずさを誤魔化すように声を張り上げた。
その態度から、本気で事情を教えずにいるつもりでいた事を察し取り、真尋は憤然と腕を組む。


198 :最近、ニャル子のようすがちょっとおかしいんだが。:2016/01/01(金) 08:22:20.74 ID:gsRRJEku

「お前こそ、何で呪いの事を黙ってたんだよ。それを聞いてれば僕だって少しは……」
「……だって、ワケを話したら、まるで同情を引くためにやったみたいでイヤじゃないですか。
 本当に欲しいものは、真正面から実力で勝ち取るからこそ意義があるんです!」
「それで勝手に崖っぷちまで追い詰められてちゃ世話ないよな」
「ぐぬぬ……! し、しかしそこは、自らを極限まで追い込む事で新たな色気が覚醒したり……」
「するのか?」
「……いえ、普通はしませんけど。ですが、可能性はゼロではないんです!
 路上ライブで有名プロデューサーの眼に止まり、ヒットチャートを駆け上がっていく程度にはっ!」

それは普通、可能性は限りなくゼロに近いと言うのではないだろうか。
いつも適当に後付け設定を継ぎ足すニャル子だが、今回ばかりはそう都合よくともいかないらしい。
ともあれ、これ以上向こうのペースに付き合っていたら、無駄な時間が過ぎるばかりだ。
諦念と共に立ち上がった真尋は、彼女の肩にポンと両手を置き、宥めるような口調で語りかけた。

「あーもう、そういうのいいからさ。とりあえず僕の負けってことでいいよ」
「はいっ? あのぅ、私、話の脈絡が今一つ掴めないんですが……」
「そこまで捨て身で来られたら、抵抗なんて出来るわけないって言ってるんだよ。
 呪いを解除するにはその、……そういう事しないといけないんだろ? ならいいぞ、しても」
「な、なんですとー!?」

言葉を濁しつつ許可を出すと、ニャル子は某ミステリー調査班の隊員さながらの勢いで驚いた。
けれど真尋にしてみれば、そこまで愕然とされるのはいささか心外だ。
いくら何でも、自分に好意を寄せる相手をカエルに変えてまで、己の純潔を守ろうとは思わない。
だが、嬉々として押し倒しに来るだろうという予想に反し、ニャル子は激しい葛藤を見せる。

「うぬぬぬぬっ、ここはお言葉に甘えて、ありがたくゴチになってしまうべきなのでしょうか……?
 で、ですがそれでは、決定的な一歩は真尋さんに踏み出して貰おうという私の目論見が……。
 そう、やはり初めては真尋さんから、『もう我慢できなーい』とケロッグコンボされてこそ……!」


199 :最近、ニャル子のようすがちょっとおかしいんだが。:2016/01/01(金) 08:26:05.43 ID:gsRRJEku
「そんなこと言ってる場合じゃないだろ……」

この期に及んでまだ妙なこだわりを固持するニャル子に、真尋は再び溜息をついた。
アト子も言っていた通り、本当に変な処でとことん強情なヤツだ。
そんなやり取りをしている間にも、彼女の爪の刻印は心なしか赤味を強めているように見える。
あまり猶予はないと判断し、真尋は毒を食らわば皿までといった心境で、更なる譲歩を自分に許す。

「……ったく、仕方ないな」
「しかし、このチャンスをただ見過ごすというのはあまりにも……ってあれ、何ですか真尋さ」

思考に没頭するニャル子が気付いた時には、すでに互いの顔は充分に近づいている。
ふと面を上げた彼女の無防備な唇を、真尋はそのまま静かに塞ぎ止めた。

「ん、んんっ? ──んむぅぅっ!?」

ニャル子は瞳をぱちくりと瞬かせた後、くぐもった驚きの声と共に、頭のアホ毛を天高く逆立てた。
さすがにいきなり舌を入れるほどの度胸は無く、唇を重ね合わせるだけの軽いキスだ。
それでも真尋にとっては、近所の某テレビ塔からバンジーするくらいに思い切った行動である。
呪いを解くための、いわば人命救助のようなものだとはいえ、冷静さを保つ事は難しい。
頭の中で、否定し切れない心地良さと、それに溺れまいとする理性とが、ぐるぐる回ってせめぎ合う。
数秒ほどで唇を離すと、ニャル子はいま起こった事が信じられないといった風情で呆然と呟く。

「え、な、なっ……? いっ、いま、真尋さんのほうから、私に、キ、キス、を……?
 げっ、幻覚やトリックじゃないですよね? 唇と唇で、こうムチューっと、少しぎこちなく……」
「ぎこちなくて悪かったな。仕方ないだろ、慣れてないんだから」

真尋は軽く拗ねながら、自分でも判るほどに火照った顔をプイと脇へ逸らした。
ほんの少し前までは一片の覚悟も無かったのだから、多少動きが固いぐらいは大目に見て欲しい。
誰もが宇宙人達のように、最初からクライマックスで欲望に身を任せられる訳ではないのだ。
ちらりと横目で窺うと、ようやく実感が湧いてきたのか、ニャル子の瞳が急速に輝きを増していく。
そして、いきなりガバッと身を乗り出すや、フンスと鼻息荒く迫ってきた。


201 :最近、ニャル子のようすがちょっとおかしいんだが。:2016/01/01(金) 09:50:11.32 ID:gsRRJEku

「ま、真尋さんっ! 今のは唐突すぎて、記憶野にしかと焼き付ける事が出来ませんでしたっ!
 ですのでもう一回! もーいっかいっ! 真尋さんのちょっとイイトコ見てみたいっ!」
「変なコールすんな。頼むからもう少し普通に言ってくれ」
「あ、ん、みゅっ!?」

真尋は文句を返しつつも、請われるがままにニャル子の唇へ再び口付けた。
二回目ともなれば、さすがに緊張の度合いも先程よりは薄れている。
小さく音を立てながら、上下の房を順についばみ、最後の仕上げとばかりに柔らかく唇全体を吸う。
これでいいかと目線で問うと、ニャル子は口元を三角にして感激に打ち震える。

「フオォォォ……! 『おかわりもいいぞ』とか、コレひょっとして私の死亡フラグ確定ですか!?
 調子に乗ってがっついたら、31%の嘔吐ガス的な感じで無残にデッドエンドですかっ!?」
「縁起でもない事を言うなっての。むしろフラグ回避のためにしてるんだろうが」
「わっ、とと?」

真尋はニャル子のウエストに手を回し、引きずり込むようにしてベッドの端へ腰を下ろさせた。
身を寄せて並んで座ったその体勢に、今更ながら猛烈な気恥ずかしさが込み上げる。
だが、これからすべき事を思えば、この程度で照れている場合ではない。
頬に掛かった銀髪を掻き上げてやると、ニャル子はまたもやびっくりしたように目を丸くする。

「な、何だか真尋さんがなまら積極的です……。
 これはもしかするともしかして、今日こそは本当に最後まで行けてしまうのでは……?」
「だからそのつもりだって言ってるだろ。いつもの僕らしくないとは自分でも思うけどさ。
 ……そういえば、いつもならこの辺りで、状況を嗅ぎ付けたクー子が乱入して来る頃だよな?」
「あ、その辺は抜かりありません。先程2?ほど鼻血吹かせて、瀕死に追い込んでおきましたから。
 今頃は亡者モグラ叩きや亡者テーブルサッカーで、地獄の鬼共のオモチャになってますよ多分」

原因が鼻血というならば、手段はおそらく殴打ではなく、色仕掛け的なサムシングだろう。
詳しい経緯は聞く気もないが、ニャル子もなりふり構っていられないほど余裕がない、という事か。
なんにせよ、途中でクー子の邪魔が入る心配が無いのは正直ありがたい。
事の真っ最中に踏み込まれでもしたら、弁解する暇もなく嫉妬の炎で完全焼滅させられるだろうし。
後でバレても危険である事に違いはないが、誠意を込めて一から事情を説明すれば何とかなる。

202 :最近、ニャル子のようすがちょっとおかしいんだが。:2016/01/01(金) 09:54:04.84 ID:gsRRJEku
たぶん何とかなると思う。
何とかなるんじゃないかな。
まあちょっと覚悟はしておこう。
段々と怖い考えになってきたので、頭を振って気を取り直し、ニャル子の体を軽く抱き寄せる。

「おぅっ?」
「じゃあ、その、今のうちに済ませるぞ。……何かこうして欲しいとかあるか?」
「ええっとぉ……。なら、まずはもっとキスして欲しいです。今度はそう、ネットリといやらしくっ!」
「そのリクエストは女としてどうなんだ……?」

欲望に忠実すぎる要望に軽く萎えそうになりながら、真尋は顔を近づけていく。
ニャル子は心底嬉しそうに顎を上げ、すぼめた唇から小さく舌先を覗かせて、濃厚なキスを誘う。
先程の発言を割り引いてもなお魅惑的なその表情に、胸の鼓動がひどく高鳴る。
真尋はニャル子のうなじを片手で支えると、深く静かな口付けを注ぎ込んだ。

「ん、っむ……」
「ぁふ、ちゅっ、んふぅ……。ん、んぅっ、れる……」

そっと舌を割り入れると、ニャル子は待ってましたと言わんばかりに、積極的に応じてきた。
ディープキス自体は、人格が入れ替わった事件の際に経験済み、というか一方的に奪われ済みだ。
だが、呆然とされるがままだったあの時とは、身体も状況も行為への意欲も、何もかもが違う。
仄かに甘く感じるニャル子の口内を、自ら舌先をくねらせ、撹拌するように探っていく。
なまめかしい息遣いと、濡れた粘膜同士が立てる湿った音が、真尋の興奮を聴覚からも刺激する。
絡め、つつき、擦り合わせるたび、股間のものがズボンの中でじわじわと鎌首をもたげ出す。

「っはぁ、ニャル子……」
「真尋さぁん……。はぷ、んむぅ、ふちゅ、あむ……っ」

一息ついて呼び掛けると、ニャル子は蕩けた声で応じつつ、首に腕を回して身をすり寄せてきた。
抱きつく拍子に押し当てられた二つの豊かな膨らみが、真尋の胸板で柔らかくたわむ。
その感触をもっと確かめたいという欲求に従い、細くしなやかな肢体を少し強めに抱き締める。
時おり互い違いに顔を傾け、ハリウッド映画ばりの濃厚なキスシーンがしばらく続く。
ややあって、ニャル子は自分から名残惜しげに唇を離すと、ほうっと陶酔の吐息を洩らした。


203 :最近、ニャル子のようすがちょっとおかしいんだが。:2016/01/01(金) 09:58:06.71 ID:gsRRJEku

「あぁ、なんだか超ヤベーです……。
 まだキスしかして貰ってませんのに、私もうすでに濡れ濡れのトロットロです……」
「だ、だからさ、お前もうちょっと言い方ってものを……」

うっとりと上気した顔で呟くニャル子の物言いに、真尋は軽く舌をもつれさせた。
平常時ならば露骨な表現に少々引くところだが、こんな状況で聞かされると全く違った響きを持つ。
自分との行為で感じていると告げられて、男として嬉しくないはずがない。
ニャル子は潤んだ瞳に物欲しげな光をたたえ、下半身に直接響くような艶を含んだ声色で囁く。

「真尋さん、次はキスだけじゃなくて、あちこち揉んだり撫でたりもしてください……」
「あ、ああ……」

言葉の選択にはやはり難があるものの、要求自体は望むところだ。
真尋はニャル子の背に回した両手をゆっくりと動かし、彼女の身体を慎重に撫でていく。
ベビードールの薄い布越しに、火照った肢体の温もりと柔らかさとが、触れた指先に伝わってくる。
右手を背の曲線に沿って下へと滑らせ、腰のあたりで方向を転じ、肉感的な太腿へ手を這わす。
そして、レースよりもきめの細かな素肌の感触を、手の平全体を使って存分に味わう。

「は、んふぅ……。真尋さんの手、優しくてあったかくて、すごく気持ちいいです……。
 どこ触られても、身体の奥からゾクゾクきちゃ、あん、そこっ……」

長い後ろ髪を撫でつけるようにそっと梳き流すと、ニャル子は心地良さげに目を細めた。
左手で極上の絹糸にも似た手触りを楽しみつつ、真尋は太腿を触る右手を尻の方まで伸ばしていく。
瑞々しく丸い輪郭を軽いタッチでさわさわと辿り、浅く指を沈めて弾力を確かめる。
時々手が止まるようなたどたどしい愛撫にも、ニャル子は過剰なほど良好な反応を示す。
真尋は緊張と興奮に乾いた唇を舐め湿らせ、続けて胸の膨らみへと手を進めていった。

「ぁふ、んっ……!」

両脇から寄せ上げる感じに手を添えると、豊かな乳房は真尋の指を型取るように柔らかく形を変えた。
親指の付け根近くにコリッとした感触が当たり、ニャル子の片眉が小さく跳ねる。
ブラを着けていないため、互いの間を隔てるのは、ベビードールの薄いレースの生地一枚だ。

─ ─ ─ ─ ─ ─ ─

つづく

  • 最終更新:2016-01-05 22:52:53

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