朝チュン2

375 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/07/31(火) 01:38:42.30 ID:rP2DjM5S
>>365の展開書いてみた


ニャル子が意識を覚醒させたとき、最初に感じたのは違和感だった。
いつもの自分のベッドにしては、枕が随分硬い。それに何か自分の上に乗っているかのような重みがある。
にも関わらず、それらはけして不快ではない。むしろ誰かに抱かれているかのように、妙に安心感がある。
(あったかくって……気持ちい……)
あまりの心地よさにせっかく浮上しかけた意識がまた沈みそうになる。
(うにゅう……起きないと、まひろさんが……真尋さん……?)
その名前を思い浮かべたと同時、昨夜の記憶がフラッシュバックする。
その記憶が確かならば、ここはニャル子の部屋ではない。ということは、この違和感は。
「まっ……!!?」
一気に冴えた頭が導き出した答えに瞼を開けると、愛しい少年の寝顔が目の前にあり危うく悲鳴をあげるところだった。もちろん黄色いやつ。
咄嗟に両手で自分の口をおさえ、真尋の様子を伺う。
規則的な寝息を立てて、幸い起きてはいないようだった。
ほっと一息吐いて、あらためて状況を確認する。
硬いと思っていた枕は、予想通りというか真尋の腕枕だった。真尋のもう片手はニャル子の腰に回っている。感じた重みの正体はこれだった。
抱かれているような、というか実際抱かれていたわけだ。愛しの八坂真尋に。
(そりゃ気持ちも心地もいいに決まってますよ……)
しかもとんでもないことに、真尋の腕は直接ニャル子の素肌に触れている。昨夜は服を脱いだ記憶しかないので当然だが。
昨夜。そう、昨夜だ。
「ふにゅう……」
今度はフラッシュバックどころか鮮明に思い出してしまって、ニャル子は一人顔を紅くした。
ニャル子にとっては何度も夢見たことで、今さら照れるというのもおかしな話だが、やはり理想と現実は別だった。
(真尋さん、すごかったぁ……)
正直、現実のほうが凄すぎた。
自分を組み敷く真尋の顔とか、名前を呼んだ声とか。
女顔に似合わず男らしいことは知っていたが、あんな真尋は知らなかった。
あんな、優しく触れてきたりキスを求めらたり、気遣いながらも余裕なく自分を貫いて……。
(うにゃあああぁぁぁぁ!!)
細部まで思い出して、羞恥だか歓喜だかわからないもので叫びたくなった。
ギリギリ叫ばなかったのは頭の隅に真尋を起こしてはいけないという意識があったからだ。
代わりに布団を思いっきり引っ張りあげて顔を埋める。
「ん……」
その時、真尋が僅かに身じろいだ。
たとえ絶叫しなくとも、腕の中でもだもだと暴れれば当然である。
ニャル子はおそるおそる布団から顔を上げた。
(お、起きます?起きちゃいます?ま、まだ心の準備がががっ)
第一声は何と声をかけるべきだろうか。ここはベターにコーヒーの準備をしておくとか?いっそニヒルに煙草吹かしとくとか?
取りとめもないことが脳内を巡り、最後には結局昨夜の真尋を思い出す。
真尋は自分にやさしい声をかけてくれるのだろうかと思ったらダメだった。
むず痒いものが胸に込み上げて、こんなときどんな顔をすればいいかわからない。
混乱するニャル子にとって幸か不幸か、真尋はまだ目覚めなかった。
しばし身じろいだ後、腕の中のものを強く抱きこむとようやく落ち着けたのか、また夢の世界に旅立っていく。
現実世界にニャル子を残して。
(な、ななななんくぁwせdrftgyふじこlp!?)
先も言ったように、ふたりは服を一切着ていない。加えてこの密着した状況。
いやがおうにも昨夜のことを思い出して、顔に熱が集まってくる。
ここにきてニャル子はコーヒーより何より、最初に服を着るべきだったと気付いた。既に手遅れだったが。
無理に抜け出そうとすると真尋を起こしてしまいそうで、怖くてできない。
密着した胸から伝わる鼓動は穏やかなリズムを刻んでいるのに、対してニャル子の心臓はうるさいほど早鐘を打つ。
このままでは心臓のほうが先に壊れてしまいそうだ。
「私にどうしろっていうんですか真尋さぁん……」
それでもこの状況に喜んでいる自分も自覚していて。
ニャル子は誤魔化すように真尋の胸に顔を埋めた。


おそまつ

  • 最終更新:2014-08-16 14:18:37

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